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2013年7月18日

憲法96条の改正に思う

(夏祭り)

 参議院選挙の争点の一つである憲法96条の改正について考えてみます。

 憲法96条は、憲法の改正手続きを決めた条文です。

 現行憲法では、改正は各議院の総議員の三分の二以上の賛成で発議し、国民投票でその過半数の賛成を必要とします。

 自民党の憲法草案では、総議員の三分の二以上の要件を過半数に改める提案となっています。

 賛成の立場からは、「国民の過半数が改正したくとも、国会議員の三分の一が反対したら、憲法改正できないのはおかしい。」とか、「改正への高いハードルがあったから、そもそも憲法論争が深まらなかった。」などの意見が寄せられます。

 なんだか、一見もっともらしく聞こえますが、「憲法」というものをまったく理解していない考え方だとお思います。

 このブログでも書きましたが、「憲法」とは、国民をしばるものではなく、国家なり、国家の権力者をしばるものです。これが「立憲主義」の魂です。

 国民投票は直接民主主義です。国民が直接、意思決定をすることは民主主義のあり方として正しいことです。しかし、過去の歴史は国民が熱狂し、誤った判断をすることがあることも教えてくれます。

 ヒットラーはワイマール憲法の下で、民主的に選ばれ、国民投票を多用して権力を強めていきました。ですから、戦後、ドイツでは一度も国民投票は行われていません。

 一方で、憲法改正手続きにおける、国会の発議は、間接民主主義であり、国民投票へのブレーキでもあるのです。熱狂的になって、直接民主主義が暴走しないための安全装置なのです。

 憲法改正の発議に国会議員の三分の二以上の賛成が必要だとすると、選挙で歴史的な大勝利を収めない限り、政権与党単独では発議できません。

 そうなると、野党も賛成できる、国民にとって本当に必要な改正しか提案できないことになります。

 アメリカやスイスなど、日本以上に改正手続きが硬性の難しい国で、憲法改正が行われていますが、与野党のイデオロギーにはかかわらず、改正すべきものが改正されています。

 憲法99条は、天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に憲法尊重義務を課し、しばっています。憲法は国民をしばるものではありません。

 国会議員も「権力者」ですから、三分の二以上の賛成を必要として、時の政権や政治状況によって、国の基本法である憲法をふらふらと動かさないようにしているのです。

 この意味での「立憲主義」をないがしろにするような、安易な改正手続きの容易化には、冷静に反論をしていかなければなりません。

三連休!

2013年7月16日

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