ロストジェネレーションの叫び
文春新書の「論争 若者論」(2008年10月)を読みました。目からウロコの発見がありました。これは、「論座」や「文藝春秋」などから、若者論争の論文、対談を13本集めたものです。
冒頭の「丸山真男をひっぱたきたい」は赤木智弘さんという31歳のブロガーでフリーターの方の論文です(「論座」の2007年1月号)。
就職氷河期に出くわしたロストジェネレーションの本音が書かれています。今のまま、正社員になることができないまま、貧困が固定されていく「平和な社会」よりも、むしろ戦争によって、社会が流動化する方を望むという訴えです。
中高年の雇用を守ってきたために、若者には正規雇用の機会がないまま、非正規雇用で働かざるをえないもかかわらず、マスコミからも「自己責任論」で片付けられることへの悲痛な叫びです。
一生、非正規のまま、低収入で、結婚することもままならない状況が続くよりも、戦争が始まって、階級社会の軍隊で、東大出の「丸山真男」をひっぱたける方がましだというのです。
「失うものがない者にとって、戦争はむしろ望ましい。」と思う若者が増えているのです。若者の右傾化を指摘する声もありますが、共通するものがあるのかもしれません。
先週号(3月14日−20日)のロンドンエコノミスト誌が雇用危機特集「The jobs crisis」を組んでいました。その中で、日本の労働市場に対して、厳しい見方がなされています。
(ロンドンエコノミスト誌「The Economist」は世界中のオピニオンリーダーの間で読まれている週刊誌で、私が最も尊重しているニュースソースです。)
つまり、日本は労働市場が正規雇用と非正規の二重構造になっていて、その格差が先進国の中でも最悪であると批判されています。この認識が世界の常識です。
日本政府は、一日も早く、「同一労働、同一賃金」という世界標準を法制化し、最悪の労働市場という汚名を返上しなければなりません。そして、正規雇用への転換を促進するとともに、正規、非正規にかかわらず、雇用保険の適用をもっと柔軟に、対象も拡大すべきです。
戦争を望む若者が増えていくような国になることだけは避けたいものです。これは、政治の責任です。
私たちのために。
私たちの子供たちのために。
私たちの大切な人のために・・・。
信じられない政治に終止符を打つ。
そして、信じられる政治を創るために。