来年度予算案の問題点
昨日、2014年度の政府予算案が閣議決定されました。
一般会計の総額は、昨年度に比べて3.5%増加の95兆8823億円と過去最大の予算となりました。この他、5兆円を超す補正予算が加わりますから、100兆円を超える歳出規模になります。
歳出カットができていないばかりか、景気対策のための公共事業などが大幅に増えていますから、せっかく社会保障の充実と財政再建のために消費税を来年度約5兆円増税したにもかかわらず、国債発行額は1兆円強しか減っていません。
本来、景気の上ブレによる税収増は借金の返済に回すべきですし、消費税はこれまで借金でまかなっていた社会保障の財源に充てることで、安定的な運営を可能にする約束でした。
結局、増税分の5兆円は社会保障に充てるという説明になりますが、玉突きで楽になった分は借金返済よりも歳出に回した結果となりました。
もちろん消費税増税の一部は、子育てや医療などに充てることにしていましたが、ここまで能天気に歳出の増加を許すことは予定していません。
苦しい生活の中で負担に耐える納税者の観点がまったく抜け落ちています。
今、日銀は発行額の7割の国債を購入する財政ファイナンスによって、人為的に国債の金利を抑えています。しかし、このような財政節度のない予算案をマーケットが評価しない場合には、金利が上昇するおそれがあります。
来年度も物価を2%に向けて上げていくためには更なる円安が必要で、日銀がそのための更なる金融緩和に踏みきれば、金利上昇の可能性は高まります。
来年度予算でも、国債の元利払い費用は1兆円増の23.3兆円です。さらに金利払いの費用がウナギ上りに増えれば予算の編成が難しくなっていきます。
アベノミクスの出口戦略を考えても、来年度の予算はもっと節度あるものにすべきです。
消費税増税への備えと言う意味は判らないではありませんが、「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」のたぐいで、ここまで予算のバラマキをする必要はありません。
来年の通常国会では、この予算の持つリスクとアベノミクスの出口戦略のリスクを合わせて、指摘していきたいと思います。