経済産業委員会で質問ー総合取引所の早期実現に向けて
今日は、終盤国会での経済産業委員会で一般質問に立ちました。
先週、電気事業法の改正案の審議で、先物取引の質問をしましたが、そのフォローアップをしました。以下、概要をアップします。
茂木大臣は、12日のこの委員会において、「商品先物は商品の受け渡しを伴うなど金融とは若干事業の性格が異なる」と答弁されましたが、先物、すなわちデリバティブは、現物の価格変動をヘッジするために取引されるものであり、もとになる原資産(げんしさん)がコモディティか証券・金融かで差はありません。
世界的にも、商品先物市場は完全に金融市場と認識されています。金融監督当局以外が監督している商品市場はインドだけです。インドは海外からのデリバティブ取引を禁止していてグローバル競争に加わっていない国です。アメリカは先物市場と現物市場が分離されていますが、商品先物市場の監督は金融当局であるCFTCです。世界標準では、受渡しが行われるコモディティを含めてデリバティブは金融として規制され、市場が拡大しています。
(対茂木経産大臣)
問1.世界標準では、コモディティのデリバティブが証券・金融のデリバティブと同じ金融の規制の下にあるが、答弁のように「事業の性格が異なる」なら、この同じ金融の規制下にあることにどのような弊害があるのか。
日本では、コモディティだけ別規制になっているため、参入にはコンプライアンスのための多額の人件費がかかり、証券会社が参入しにくい状況です。この8年間で、日本の商品市場は世界が5倍に伸びる中で1/5に縮小しています。
2012年2月の産業構造審議会でも、「東京商品取引所は、流動性が低下して当業者のヘッジニーズを満たすには実力不足。数年のうちに市場消滅の危機に瀕している」との指摘がなされています。
(対茂木経産大臣)
問2.ヘッジに利用する事業者にとって、取引所で取引を成立させるためには流動性があることが不可欠です。コモディティだけ別規制となっている日本の商品先物市場が縮小に歯止めがかからない中で、総合取引所以外の答えがあるか。
6月5日の規制改革会議では、「諸外国は金融商品取引所と商品取引所の一体化が進んでいる状況において、アジアNo.1市場を構築し、産業インフラとして機能する取引所の国際競争力を維持・強化する観点から、証券・金融・商品を一体的に取り扱う総合的な取引所を創設することが重要であり、そのための整備をタイムリーかつ着実に進める。」との決定がなされました。
(対寺田金融担当副大臣)
問3.寺田副大臣は、本年4月25日に開催された規制改革会議のワーキンググループで、「国際化の議論にまったく隔絶した世界に東京商品取引所がいるから商品市場が衰退した。」との認識を示されています。そのご本意をお聞かせいただきたい。その上で、本年6月5日に決定された規制改革会議の方針である「総合的な取引所の創設のための整備をタイムリーかつ着実に進める。」との趣旨を具体的に説明いただきたい。
(対寺田金融担当副大臣、対平政務官)
問4.日本の商品取引所参加業者はOMXの取引システムを使用。日本取引所グループのデリバティブ取引所のシステムと同じであり、日本取引所グループに入れば移行コストはほとんどかからない。海外の取引所との連携を進める場合は、たとえば、世界最大のCMEグループはGLOBEXという取引システムなので莫大な移行コストがかかる。このような点に関して所見いかん。
東京商品取引所は、会員組織のときを含めて、31年間、5代連続してトップが経産省の天下りです。現在、社長のほかに専務、子会社社長と計3人の天下りがいます。先輩の社長が決めた、念のために申し上げれば、形式的には会社の指名委員会が決めたわけですが、6代目も続けて経産省OBが就任することは止めるようにと質問したところ、茂木大臣からは「李下に冠を正さず」との前向きの心強い答弁をいただいた。さすが、改革派の茂木大臣だと敬意を表します。
(対茂木経産大臣)
問5.天下りを守ろうとするのは悲しい役人のサガであるが、政治家としては、これ以上の東京商品取引所への経産OBの天下りは認めず、コモディティの市場を再生させるためにも2013年中に総合取引所を実現する、少なくとも合意を得る、このことを、疑念を持っている国民に明らかになる形で、強い決意を持って、表明すべきであると思うが、どうか。
(寺田金融担当副大臣)
問6.経産省の事務方に総合取引所への熱意が感じられない中では、創設に向けた強力な取組が政治サイドで必要。その際、具体的には次の2点が重要。金融庁として、これらについて、是非取組んでもらいたい。
第1に、投資家の税制に関して、長年の課題となっているデリバティブと現物株の損益通算について、総合取引所実現を条件に実施することが必要。
第2に、総合取引所の取引に関して、行為規制が異なって証券会社などに支障が生じないように、証券や金融の取引所取引と同様に、コモディティの取引所取引についても不招請勧誘は禁止しない、とすることが必要。