昨年末のバター騒動は何だったのか?
(JR和歌山駅東口での早朝街頭演説。)
今回の民主党役員人事で、ネクストキャビネット(次の内閣)農林水産大臣を拝命しました。
私としては、農協改革をはじめ、問題山積の農林水産行政に初めての挑戦です。
今、農林省の皆さんと一緒に猛勉強中なのですが、外部から誤解していたことがたくさんあることにビックリ!
たとえば、昨年末のバター不足の問題の原因は何だったのか?
当時、農林省の酪農政策の失敗だとか、農畜産業振興機構の国家管理貿易が問題だとか、マスコミが批判しました。
私も、報道からはそのような印象を受け、真に受けていました。
しかし、調べてみると、いろんなことが判ってきました。
まず、生乳の生産が一昨年2013年に猛暑で減る中、脱脂粉乳・バター向けの量が約8%も減少。そこで、在庫が減りました。
昨年2014年も、乳牛の頭数が減り、生産減。脱脂粉乳・バター向けの量も同様に11月までの比較で約8%減少。確かに在庫は減りましたが、それが原因ではなかったのです。
在庫が減ったとは言え、昨年11月末にはバターで約2万トン、脱脂粉乳で約3万トンの在庫がありました(2010年度末バター約2万トン、脱脂粉乳約6万トン。)。
農畜産業振興機構の国家貿易でも、昨年2014年度生乳換算で約18万トン(毎年の基本輸入量:カレントアクセスは約14万トン。)の追加輸入をしています。
スーパーの店先からバターが消えた原因は、主として、オイルショックの時のトイレットペーパーと同じ消費者心理だったのです。
もちろん、町のパン屋さんや、ケーキ屋さん、ラーメン屋さんもバターを買いに走りました。
昨年10月末から、12月28日の週まで、全国の小売店の毎週のバター販売量は前年同期比で、2割から最大3割まで増加。販売在庫はあったのですが、それ以上に買う人が多くてパニックになったのです。
騒動が一段落した12月末からは前年比マイナス1割が続いています。
バターの賞味期限は半年くらいですから、今年の6月頃まで、バターの販売は前年割れが続くでしょう。
確かに、時期的にクリスマス商戦前のバター需要が大きくなる時期だったので、皆さんパニックになったのだと思います。
その意味では、農林省の広報体制には大問題があったと言えます。この点は、ぜひ、改善しなければなりません。
しかし、間違った認識のままではまた過ちが繰り返されますので、あえて、ブログで報告させてもらいました。
農畜産業振興機構の国家貿易も、すべてのルールがWTOで決められており、日本政府としてはなかなか、別の手段は取れませんし、脱脂粉乳・バター向けの生産160万トン(2014年度、生乳換算)に比べて、14万トンの基本輸入量(カレント・アクセス)は市場経済を歪めるとまでは言えないと思います。
私は、経済性政策、財政金融や、社会保障が専門なので、その分野では、新聞がデタラメな記事を書いていればすぐに判ります。けっこう、多いですよ。特に、経済新聞と名のつくところほど、、、、苦笑。
しかし、今回は、素人の思い込みから、マスコミ報道を鵜呑みにすることの怖さを痛感しました。
これからも、新しい農林水産分野での情報発信を心がけます。