児童虐待問題へのアプローチとしての「前向き子育てプログラム」
(オーストラリアのクイーンズランド大学マット・サンダース教授との勉強会の模様。)
私は、浪人中に児童養護施設に関わったことから、国会議員として「社会的養護の必要な子どもたちを応援する議員連盟」事務局長として、児童虐待問題に取り組んでいます。
その議員連盟で、オーストラリアのクイーンズランド大学マット・サンダース教授をお招きして勉強会を開催。
児童虐待を防止するための、「トリプルP-前向き子育てプログラム」を教えていただきました。
トリプルPは、子どもの発達を促しつつ、親子のコミュニケーション、子どもの問題行動への対処法などの親や保護者へのプログラムです。
世界30カ国で実施され、目覚ましい効果を上げているそうです。
地域ごとに、すべての親や保護者に対して、子どもが受ける子育ての質を高め、子どもが自制心を持ち、自尊心を発達させる能力を引き出すというアプローチです。
つまり、全体の正規分布(より良い子育てから、普通、そして良くない子育てのグラフ)を良い方向へシフトさせれば、極端な良くない子育ての子どもたちの分布が少なくなるので、地域全体として問題が減少するという考え方です。
私たちは、これまで政府でも、個人でも、個別の問題解決のアプローチに集中してきました。
確かに、個別具体の問題への対処は待ったなしですから重要ですが、一般的な啓もう活動の重要性も再確認することができました。
方法論としては5段階のレベルがあり、一般的なコミュニケーション戦略から、簡単な子育てアドバイス、グループごとに議論しながらの子育て技術トレーニング、最終的には集中的な家庭への介入まであります。
基本的な考え方は、一貫性のある子育てによって、子どもに自制心を身につけさせることですが、親や保護者に対しても、他人への依存を減らし、日々の子育てに自信を持たせることが重要だというもの。
児童虐待を減らすことに関して、ある意味、目からウロコのアプローチでした。
和歌山県で今年度から、実験的に、トリプルPを取り入れるとのことです。
具体的な成果が出ることを見守り、今後の議員連盟の活動にも取り入れていきたいと考えています。