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2014年3月20日

「国家はなぜ衰退するのか」

(ダロン・アセモグル、ジェイムズ・ロビンソン著、「国家はなぜ衰退するのか」、早川書房、2013年)

 昨年のベストセラー、ダロン・アセモグル、ジェイムズ・ロビンソン著、「国家はなぜ衰退するのか」をようやく読了。

 東京―和歌山の往復の移動時間を使いました。

 豊かな国と貧しい国の発展過程の違いを、二人の著者は「制度」に求めます。

 伝統的には、国家が繁栄するかどうかは、地理的な理由、または文化の違いや統治者が正しい政策を知っているかなどの理由で説明されてきました。

 しかし、著者は絶対主義で収奪的な制度から民主的で包括的な制度に移行できたかどうかが、問題だと言います。

(注)翻訳者は包括的(inclusive)という訳語を用いていますので、そのまま使っていますが、inclusiveは「包摂的」と訳した方がわかり易いのではないかと思います。

 「自由な言論に支えられた民主政治と、自由で開放的な市場経済という制度セットこそが、創造的破壊を伴う経済成長の安定した継続を可能とする。」(「国家はなぜ衰退するのか」下、pp.288)

 そのきっかけは、多元主義に基づき、政治権力が社会に広く行き渡ることであり、1688年のイングランド名誉革命、1789年のフランス革命、1868年の明治維新が成功例だとされています。私は明治憲法下で大正デモクラシーによる複数政党政治が可能になったのも、多元的で包括的な政治制度のおかげだと考えます。

 欧米の植民地が独立を果たした時に、すでに完成されていた「収奪的な経済制度」を引き継いだ政権が「収奪的な政治制度」となり、貧困を助長した事例がたくさん出てきます。

 中南米でも、また、南北戦争後のアメリカ合衆国の南部ですら、一部の政治エリートが収奪的な政治制度の下、国民の貧困を放置し、経済の低成長に苦しみます。

 明治維新を起こした先達たちも、もがき苦しみながら、政治改革を繰り返しながら、包括的な政治制度を構築してきました。私たちの繁栄は、その時の、僥倖のおかげです。

 一方で、ソ連や中国のような、収奪的な政治制度の下では、中期的には経済成長も可能ですが、創造的破壊が起こらないため、長期的には成功しないと著者は指摘しています。

 現実に、ソ連は崩壊ましたし、著者は中国の未来にも悲観的な態度を取っています。

 中国の未来はオープンクエスチョンにしておきますが、この本のインプリケーションは、日本としても、多元主義の包括的な政治制度を維持し、創造的破壊が持続する経済制度を育てていくしかないということです。

 その意味でも、政府が民間活動に介入する「国家社会主義的」なアベノミクスには、一日も早く終止符を打つよう努力しなければなりません。

(ダロン・アセモグル、ジェイムズ・ロビンソン著、「国家はなぜ衰退するのか」、早川書房、2013年)

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