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2014年1月8日

民主党の進むべき道ーその1

 2014年がスタートしました。2月8日、9日には民主党大会が開催されます。

 今、民主党の支持率はどん底で、国民からの期待感はまったくありません。しかし、今年で18年目に入る政党として、これまでも幾多の試練を乗り越えてきた政党として、もう一度、再起を賭けて勇気ある一歩を踏み出すべきです。

 今後の民主党の進むべき道について、シリーズで私見を述べてみたいと思います。

1。民主党の立ち位置

 タカ派色を鮮明にしている自民党政権に対して、民主党の立ち位置を明らかにしなければ国民の支持を得られないことは明らかです。

 1998年綱領にあった「民主中道」の理念を再確認すべきです。

 この言葉の持つ意味は重いのです。1996年に民主党が立ち上がった後、いわゆる保守リベラル、市民リベラル、社民リベラルの三つのグループが合流したのが1998年です。

 その際の理念や政策の違いをすり合わせるのには長い時間と大きなエネルギーを必要としました。その結果生まれた言葉が「民主中道」です。

 タカ派の保守政党に対して、いわばハト派の保守政党としての立場を明らかにすることで、国民に選択肢を持っていただけます。そのために党内のコンセンサスをつくっていくには「民主中道」の旗が重要です。

 2012年綱領を改正して「民主中道」の政治理念を再度書き込むことを提案します。

(注)ブレアが長く政権を維持し得た理由は、本来労働党の強い支援者である層を固めたからではなく、「左派・右派のレッテルの単純さを信用しない中道的有権者たちの大規模集団」の支持を集めたからです。
 同じように、サッチャー首相が長年政権を維持したのも、保守党主流派と異なり、戦後の福祉国家路線を否定し、労働党に幻滅していた「左派・右派のレッテルの単純さを信用しない中道的有権者たちの大規模集団」に直接アプローチしたからです。
 民主党の課題も、日本の「左派・右派のレッテルの単純さを信用しない中道的有権者たちの大規模団」の支持を得られるかどうかということに集約されます。

2。政策のバックボーン

(1)社会の連帯を強め、政府への依存を減らす

 イギリスのブレアが政権を奪回するために打ち出した「第三の道」の基本コンセプトは「社会的公正と経済効率性の両立」です。私たち民主党も同じ哲学で政策を考えてきました。「経済的な安全保障と富の分配」だけではない「競争と富の創出」や、「がんばった人が報われる社会」への明確な政策転換は民主党の基本政策でした。

 私たちが政権担当時に推進した、教育や子育てを重視するチルドレンファースト、すべての市民に居場所と出番をもたらす「新しい公共」など消費者、納税者の立場に立った政策の流れは間違っていないと思います。

 最も重要なことは、社会の連帯(community solidarity)を強めるために市民の力を強くし、公益法人、NPOや地域の自治会、消防団など各種の中間団体を育てていくことです。

 ニール・ファーガソン教授が、イギリスやアメリカの市民社会の停滞の要因として、慈善団体などの中間団体の衰退をもたらした「国家の過剰なうぬぼれによる」政府の市民社会への侵害を指摘しています。

 新生民主党は「民間主導の取り組みを増やし、国家への依存を減らすこと」を目標にすべきです。

(2)「開放」か「閉鎖」か

 今の日本は、どうしても内向き志向になりがちな雰囲気があります。戦後、日本が発展を遂げていく過程では「国際化」が国を挙げての目標であったことと大きな違いです。

 国際的な政治や経済の構造が大きく変わろうとする今こそ、変化への柔軟な対応が求められていますから、私たちは、歯を食いしばって「開放」路線を選択しなければなりません。

 その判断をすれば、TPPや移民問題にも共通の方向性を見いだすことが可能になります。

 ブレアの「第三の道」も、グローバリゼーションを肯定しました。保護主義は合理的でないし、世界が分断される結果になるからです。そして、コスモポリタンで多文化主義の国家を目指しました。

 新生民主党は、経済、政治、文化などの面において、「開放」路線を選択すべきです。

日本の岐路を考えるー高坂正堯著「文明が衰亡するとき」

2014年1月5日

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民主党の進むべき道ーその2

2014年1月11日