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2013年10月6日

消費税引上げと法人税減税

 安倍内閣は消費税引上げの一方で法人税の実効税率引下げに挑戦しようとしています。

 私自身は、グローバルな経済環境を考えれば、法人税率の引下げに賛成です。実際に、民主党政権で13年ぶりに法人税を30%から25.5%に引下げました。

 しかし、それは消費税の財源を使うものであってはいけません。

 ましていわんや、「法人税率を下げれば景気が良くなって税収が増えるので財源は用意する必要がない。」というような「おまじない」政策であってはいけません。

 普通、法人税には租税特別措置などの控除がたくさんあります。そうなると課税の対象になるベース(課税ベース)が小さくなり、税率が高くても税収は上がりません。

 また、税の控除の制度がたくさんあると税制が複雑になり、節税のための労力を余分に使うことになります。

 そこで、欧州先進国では、控除などを減らす課税ベースの拡大と税率の引下げを同時に行ってきました。結果として、GDP比での法人税収は増えています。課税ベースの拡大と言う財政規律を守ったからです。

 民主党政権時代の法人税率引下げの時には、租税特別措置の廃止や繰越欠損金の控除を縮小するなどの課税ベースの拡大も同時に行っています。

 安倍内閣の方針は、課税ベースの拡大は行わずに、実効税率だけを引下げようとするもので、およそ財政規律の面からはあり得ない選択です。

 また、今回、復興財源のための法人特別税を廃止するようですが、代替財源の根拠がありません。景気が良くなって税収が増える分を充てるというような説明です。こんな無責任な説明はあり得ません。

 その一方で、投資減税など租税特別措置は拡充することになっています。

 そもそも論ですが、投資減税に景気刺激効果があるのかどうか、これまで十分に検証されていません。

 一定の投資に税額控除を与えるのは、補助金と同じ効果です。

 企業経営者が投資を決断する時に、マーケットの動向や採算性を重視するのが常識です。補助金の存在で決断するとなると、ずいぶんと甘い判断になりがちです。

 トヨタ自動車で働いていた時の経験からすると、経営判断に租税特別措置の入り込む余地はありませんでした。減税があるからと言って、資本効率を無視して投資する経営者はいません。

 投資を促進するためには、規制改革を進め、収益機会を増やすしかありません。その意味で、安倍内閣が医療、福祉や農業などの岩盤規制を崩すことに挑戦しようとしているのは正しい方向です。これは党派を超えて応援していきます。

 岩盤規制の問題点は、規制を担当する官僚にとって「現状維持」こそが人事評価のインセンティブになっていることです。 
 
 民主党は政権交代でそのインセンティブ構造を変革しようとしたのですが、力不足で失敗しました。

 自民党政権は、官僚組織とのバーゲンによって、そこは変えないという暗黙の了解で政権運営をしてきました。今の安倍内閣でも、元の木阿弥になっています。

 イギリスの人事システムのように、各省庁の利益のためでなく、内閣の利益のために働く官僚を登用する仕組みを導入すべきです。

 そして、内閣が岩盤規制改革を決定すれば、省益を乗り越え、規制を改革する官僚が増えるようになります。それには、政権が代わっても、正当に評価できる客観的な業績や能力の評価システムを確立することがその大前提になります。

 その意味で、「公務員制度改革」は党派を超えて、前向きに取り組むべき課題です。私は、安倍内閣提案の「公務員制度改革法案」を修正した上で成立させるべく取り組みたいと思います。

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