世代間会計とは?!
アメリカの経済学者コトリコフが「世代間会計」の考え方をつくりました。
社会保障や政府投資の「受益」と税金や保険料などの「負担」が世代間でどのように差があるか、モデル計算をする手法です。
当たり前のことですが、税金で予算をまかなわずに、借金で負担を先送りしている日本では、若い世代ほど「負担」が重くなるわけです。
一橋大学の小黒一正准教授の推計によれば、2005年基準で、60歳以上の世代は約4000万円のプラス。以下、50歳代は約1000万円のプラス、40歳代は約マイナス200万円、30歳代は約マイナス800万円、20歳代約マイナス1100万円、将来世代は約マイナス8300万円。
おじいちゃんの世代と孫の世代では、合計1億2300万円の格差となっています。
アメリカ政府は、毎年の予算書にこの世代間会計の格差の数字を載せて議会での審議にさらしています。
日本では、2005年に内閣府が試算を発表してから、今日までリニューされていません。
小黒准教授は、その時の試算を下に推計し直しています。政府は新しい試算を発表すべきです。
一方、政府は公的年金の世代間格差の数字を発表しました。
1950年生まれ(それ以降の世代) +502万円
1955年生まれ +−ゼロ
1960年生まれ −283万円
1970年生まれ −523万円
1980年生まれ −656万円
1990年生まれ −705万円
2000年生まれ −636万円
世代間会計の試算と方向性はほぼ一緒です。
この格差はあまりにも大き過ぎます。
もちろん、今の高齢者の皆さんは戦争に行き、空襲にあい、戦後の復興を成し遂げられました。その上、その一つ上の世代は年金制度がありませんでしたから、親への仕送りも負担されました。そこは割り引いて考えるべきです。
しかし、いわゆる団塊の世代の皆さんは、あまりにも恵まれすぎているのではないでしょうか。
孫や子どもの犠牲の上で、今の制度を使っておられるからです。
この格差を直していくのが、「社会保障と税の一体改革」です。
日本人の中での配分の問題ですから、今、年金をもらっている皆さんに少し我慢をしていただいて、(それでも払った保険料の数倍の手取りです。)若い人の保険料の負担を減らすしか方法はありません。
私の個人的な意見では、年金の保険料を消費税に置き換えていくことで、世代間の格差を減らすことが合理的ではないかと思っています。これは、今の政府案とは違います。
今後、政府は、このような基礎的なデータをきちんと公開して、国民の皆さんに一緒に考えていただくことに努力すべきです。
世代間で、まずは共通の認識を持つことからスタートです。
私たちのために。
私たちの子供たちのために。
私たちの大切な人のために・・・。
信じられない政治に終止符を打つ。
そして、信じられる政治を創るために。