欧州委員会の見方とIMF
(欧州委員会のビルで、ショッピングセンター用に建てられたものを転用したそうです。)
今、ブリュッセルの現地時間は、午前8時10分です。
今日、フランスのシャルルドゴール空港経由で関西空港に戻ります。空港にはブリュッセルから電車で行きますので、荷物の行方不明は防げるはず、、、。
昨日は、欧州委員会のクローガ―経済財務総局長と会談。
ギリシャ政府が、ハードな改革プログラムを容認し、前向きに実施していることを高く評価していました。
欧州中央銀行の総裁、欧州委員会の責任者、ギリシャの財務大臣にお会いして、彼らが、強い信頼感で結ばれていることがよくわかりました。
アジア金融危機でも、関係者の信頼関係が何より重要だと感じた経験があります。
IMFが性急な改革を求めて、政府との関係を悪くして、救済が進まなかった現場を見てきましたから。
それで、クローガ―総局長に、「IMFとの関係はどうか?ギリシャ政府は逆手に取って、改革を進めたいので立派に対応したが、他の国ではどうか?むしろ、ヨーロッパマネタリーファンド(EMF)を作ってはどうか?」
総局長は本音で答えてくれました。
「確かに、欧州中央銀行はIMFを排除しようとした。技術的なアドバイスから一歩進んで、金融政策などに介入されることを恐れたためだ。
そして、仮に他の国が救済対象になった時に、厳しい改革プログラムを受け入れるかどうか、そのことも議論になった。
ドイツはまさに、EMFの主張をしたが、これは多分に国内の世論対策ではなかったか。」
つまり、アジア金融危機の際に、アジアマネタリーファンド(AMF)の創設をめぐって、二本、アメリカ、中国の間で、激しい政治的な闘争があったように、今回も、内部では国際機関の間で、政治闘争があったことがうかがえました。
総局長は言いませんでしたが、EMFができると欧州委員会の権限が減るので、彼自身が反対にまわったに違いありません。
それでも、ユーロ導入時のインタビューで、ヨーロッパの指導者層が「戦争を二度としないために、ユーロを。」というコンセンサスを作っていたように、今回もエリート層の危機感が救済スキームをまとめたのでしょう。
もちろん、ユーロ導入でドイツは東欧で、フランスは南欧で大きな利益を上げていますから、理想論だけではない。しかし、国民レベルでの「何で、ギリシャを助けねばならないのか?」という疑問を、指導者間で抑え込むスキルがあるのですね。
今回の視察で多くのことを学ぶことができました。
できれば、IMFの担当者にインタビューしたかったですが、、、、苦笑。
それにしても、日本の株安と円高が気になります。
市場が油断した瞬間、日銀が大胆な金融緩和策を打ち出す準備をしているはずです。
帰国後、財務金融部門会議で問題提起をしていきます。