今日、１２年振りに１ドル１００円を切りました。１２年前、私はアメリカで住んでいましたので、円高は有難いことでした。大蔵省から給料を円でもらっていましたから、円高のおかげで生活がとても楽でした。

　円高はその国の通貨が強いということですから、実は国民にとっては良いことなのです。短期的に、確かに日本の輸出産業にとってマイナスの影響はあります。しかし、１ドル８０円を切っても何とか生き延びてきた日本企業の底力はすごいものがあります。また、大手の輸出企業のほとんどが輸入企業でもありますから、マスコミが大騒ぎするほどでない場合もあるのです。もちろん中小企業はたいへんです。

　一方、円高であれば、電力や石油産業は今の原油高を相殺することができます。私の言いたいことは、短期的な株価の上下や為替の変動で一喜一憂することはやめましょうということに尽きます。

　世界経済が危機の瀬戸際にあることは確かですが、パニックにならず冷静に対応することで、被害を最小限に食い止めることが可能です。だからこそ、日銀総裁の空白だけは避けなければなりません。

　そして、私は今でも、日銀総裁を空白にするほど日本の政治家が愚かではないことを確信しています。落選中の候補者の生意気な意見をお許しください。

岸本周平 公式サイト