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2008年3月14日

今後の円ドルレートの見方

 K司さんのコメントの通りです。世界経済も、その影響下にある日本経済も相当深刻な状況です。それでも、アメリカは政府が16兆円規模の減税を超党派で実施。中央銀行は緊急利下げも含めて、大胆な利下げを行っています。来週18日にも0.5%から1%もの大幅利下げが行われると言われています。

 一方、日本政府は借金まみれのために機動的な財政政策は打てませんし、金利はこれ以上下がらないところまで来ていますから、手の打ちようがない状態です。その意味では、暫定税率の廃止や縮小を景気対策の観点から議論するというK司さんの提案はおもしろいですね。

 なお、1980年代に、欧米では景気対策は金融政策を主にし、財政政策は使わないというのが常識になっていました。「景気の悪いときに減税しても、景気が良くなった時に政治的に増税が難しい。」だから、結局、財政だけが悪くなるという理由です。日本だけが、バブルがはじけた後、「世界の非常識」のことをしてしまったわけです。もっとも、レーガンさんやブッシュさんのアメリカ共和党は「小さな政府を作るために」減税をしましたが、本来の目標であった歳出をカットできずに大きな赤字を作ってきましたが。

 それはさておき、さて、今後、円ドルレートはどうなるのでしょうか。私は、国際金融も専門でしたが、このような予測はしないことにしてきました。マーケットは浮気なもので、なかなか当たらないものです。

 しかし、今は落選中の気楽な身分ですから、あえて申し上げると、今の円高が突き抜けてさらに高くなる可能性は少ないと思います。今の状態は、世界中の投資家が円を買ってドルを売っています。投機の世界では、これを先物の市場で行います。シカゴの先物相場では、みんなドルを売って円を買いますから、投機家の持ち高がアンバランスになっています。

 金利の高いドルを借りて、投機しているのです。一方で、円は金利が低いので儲けようと思えば、さらに円高にするしかありません。去年までは、この逆で、金利の低い円を借りて、金利の高いドルで運用していたのです。これは、為替が変動しなくても儲かるしくみでした。今は、アメリカの景気が悪いという悲観論で、円を持つ動きになっていますが、先物の決済日が来たときに、さらに突っ込むのか、持ち高をいったん解消するのか?私は解消すると読みます。当分、アメリカの経済が弱含めば、円高ドル安の地合いだとしても、今は、投機による行き過ぎ「オーバーシュート」の状態と考えるからです。

 そして、少し長い目で見れば、アメリカの景気が悪くなって、海外から物を買わなくなったら、アメリカの国際収支の赤字が減って、世界中にばら撒かれるドルが減ります。つまり、ドルの供給が減って、徐々にドル高になるはずです。

 短期的には投機家の動きに振り回されますが、長期的には教科書の通りになるはずです。ただし、21世紀に入って、従来の教科書では説明のつかない構造変化もありますから、そこをどのように読み込むかがポイントです。私の予想が当たるかどうかもその辺りがカギですね。


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