初登庁における職員訓示
和歌山県知事に就任し、初登庁での職員訓示を行いました。
『和歌山県庁の職員の皆さん、このたび知事に就任した岸本周平です。
今日から、皆さんの仲間として、一緒に仕事をすることになります。
どうぞよろしくお願いします。
県民の笑顔をつくる
まず、私たちの組織のミッションは、「県民を幸せにすること」それだけです。
幸せと言っても、ひとそれぞれに何が幸せかは異なるでしょう。
しかし、人は幸せな時には笑顔になるでしょうから、県民の笑顔をつくることが私たちの仕事だと思ってもらえば良いかと思います。
簡単でしょう?
そのためには、まず、職員の皆さん一人一人が幸せにならなければなりません。
今、笑顔になって、と私が言ったら、なれますか?
真面目な話、皆さんも、自分の幸せって何だろうと真剣に考えてください。当然、それぞれに違っていると思います。父として母として、息子として娘として、個人として。
まず、自分が笑顔になれることを本気で目指してください。
組織の長として、私としては、皆さんに職場で笑顔になってもらいたいと思います。皆さんの職務に対する能力が100有れば、200発揮できるようにすることが私の仕事です。
自分が幸せだからこそ、倍の力が発揮できるのです。
課題の克服は「実験の精神」で
では、和歌山県の現状を見てみましょう。
和歌山は課題先進県のトップランナーです。
人口減少、高齢化、産業の空洞化、経済成長力の鈍化、教育水準の低下などなど、日本全体が抱える課題の宝庫です。
だからこそ、「実験の精神」で仕事をしましょう。教科書も参考書もありません。
まずは、新しいやり方を試してみましょう。トライ&エラーで挑戦していくしかありません。
私が以前、働いていたトヨタ自動車では、毎日、改善運動が行われ、車の作り方や販売方法を変えていきます。
ただし、よく失敗します。
改善はそんなに簡単なものでありませんから。それでも、失敗した時に、上司は部下をしかりません。「ナイストライ!また、やり直そう。」で済ませます。
私も、皆さんが挑戦してした失敗はとがめません。逆に何もしない場合は、厳しい評価をします。
「前例がない」は禁句
県庁の中では、「前例がありません。」という言葉は禁句にします。前例は作るものです。私たちの仕事は前例を作ることです。
そして、私たちの主な仕事は市町村の仕事を応援することです。難しいことですが、できる限り現場に出向いて、現場のニーズに合わせた行政をしていきましょう。
市町村のやりたいことが、いろんな制約から難しいことも多いでしょう。その場合は、相手と一緒になって、ハードルを乗り越える知恵をしぼりましょう。振興局の担当者は、市町村長の味方になって知事部局とやりあうぐらいでなければ、彼らの信頼を得ることはできません。
私は、多様な人材、多様な働き方を求めます。チーム和歌山県庁を金太郎飴のような組織にはしたくありません。年齢や性別にとらわれない自由な職場にしていきます。
目的はあくまでも「県民の笑顔」です。「上司の笑顔」ではありません。
皆さんには、公務員としての誇りを持って、自ら正しいと信じることを、堂々と発言し行動することを強く望みます。
県民が主役
私は長年、どぶ板を踏み、路地裏から、県民の目線で県庁をながめてきました。
県民の県庁を見る目は厳しいです。皆さんがどんなに気を付けても「上から目線の、高圧的な態度」とみられます。皆さんにはそんな気がないのはよくわかっています。
私も、昔は、大蔵省の役人で、まったく偉そうにしていなくても偉そうだと思われてしまうという経験をしました。
お願いします。上司の顔色をうかがうのでなく、県民の皆さんの方に顔を向けてください。
つまり、私にも忖度しないでください。
意見が違えば、知事の私に「これは違うと思う!」と堂々と言ってください。
意見の違いは当然です。笑顔で協議しましょう。
県民の笑顔のために、自分達、みんなこれから一緒に、仲良く働いていきましょう。
よろしくお願いします!』