消費税引上げと補正予算
安倍内閣は、来年4月からの消費税の引上げを決定しました。
1000兆円の借金残高を抱え、日銀による財政ファイナンス(国債の7割の購入)というアベノミクスを実施している中で、増税が予定通り実施できることを示さなければ、市場からレッドカードを突きつけられるでしょう。
幸いに、アベノミクスの期待効果から足下の経済状況も好転しています。
当然の決定であったと評価します。しかし、その一方で5兆円の補正予算を実施することはブレーキとアクセルを同時に踏むようなものです。
消費税の引き上げのために、昨年、約10兆円の補正予算を実施し、財政規律をゆがめています。当時は、これ以上財政バランスを悪くするような政策は行わないということでした。
今回の5兆円の補正予算で、プライマリーバランスの赤字半減目標の達成は困難になります。
景気の落ち込みを財政の増加でカバーするというケインジアン政策は、20世紀後半から効果のないことがわかり、欧米先進国ではむしろ金融政策で対応することが常識になっています。
景気悪化した時に、借金をして歳出増加(もしくは減税)で景気を浮上させても、景気が回復した時に増税ができない結果、借金だけが増えることが証明されてるからです。
2008年のリーマンショックのような大きな経済変動の時には緊急避難的に財政出動が行われました。それについても、一時的なショックであり、いずれ景気回復する以上、財政出動よりも規制改革などの成長政策の法が望ましいという批判があるくらいです。
日本は、先進諸国とは逆の政策を取って、通常の景気循環での不況時に財政出動に頼り、赤字を増やしてきました。
また、人口構造やグローバルな経済環境の変化による不況に対しても、規制改革よりも財政出動で対応し、1000兆円、国民一人当たり800万円の借金残高をつくってしまいました。
消費税の引上げの直前には駆け込み需要が発生します。その分、引上げ直後は反動減で需要が減ります。それは、ある意味、しかたのないことです。(住宅や、自動車など大きな影響のあるものは、できるだけ駆け込み需要が起こらないような工夫をします。)
時間が経てば、いずれ平準化します。ヨーロッパの消費税の先進諸国で、税率引上げの反動減対策で歳出増加をすることはありえません。
日本の財政状況は、もはや、お為ごかしの人気取り政策のために税金を使う余裕を持っていません。
私たち、政治家は与野党関係なく、「不都合な真実」でも正直に、有権者の皆さんに訴えていくべきだと思います。