地域包括ケアシステムの構築について
(厚生労働省の担当官を招いて、地元の介護事業者との研究会の模様)
国会は閉会中ですが、どうしても党の仕事で上京することが多くなってきます。
今は、副幹事長として党務を担当していますが、引き続き、政策マターも縁の下の仕事を任されていますので、野党と言えども、けっこう忙しい日々です。
そんな中で、今週、和歌山から介護関係の事業者の勉強会メンバーが上京。福祉機器の展示会が国際展示場で開催されており、議員会館に立ち寄ってくださいました。
せっかくの機会ですから、私の方で、厚生労働省の老健局の担当官をお呼びして、じっくりと意見交換の場をセットしました。
テーマは、「地域包括ケアシステムの構築について」です。
団塊の世代が75歳以上となる2025年(75歳以上の人口は全人口の約2割)を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることを目標としています。
そのためには、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムが重要になってきます。
とくに、認知症高齢者の増加が見込まれるため、保険者である市町村や都道府県の自主的な取り組みが求められます。
厚労省の推計では、認知症宥病者数は約439万人、MCI(正常と認知症の中間)の有病者数は約380万人(平成22年)となっており、相当なインパクトです。
和歌山市内では、今現在、地域包括ケアシステムは8単位あります。勉強会の参加者の中にも、地域包括ケアを担当している事業者さんがいますので、議論は白熱しました。
大きな論点は、予防給付の見直しに関してです。
厚労省は、今は介護保険でやっている介護予防給付について、市町村主体の地域支援事業に移行することを計画しています。
「要支援者の多様な生活支援ニーズに応えるには、介護サービス事業者以外にも、NPOや民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人など、多種多様な事業主体の参加による重層的なサービス提供が望ましい。」
これが、厚労省のりくつです。
何だか、もっともらしいですが、要するに「見守り、配食、外出支援、買い物などの予防給付」を国の介護保険からはずして、市町村に責任を持たせて実施させるということです。
確かに、介護が措置制度の時には、市町村が責任を持って対応せざるをえなかったのに、介護保険になってからは事業者に丸投げで、市町村がいわば「怠けていた(上から目線ですね。)」ので、今後は地域包括ケアシステムの責任者として知恵と汗を出せ、、、と言うのが厚労省の本音です。
勉強会のメンバーもその点はある程度、理解するとしていましたが、一つには、市町村には知恵もお金もないので、そう簡単な話ではないとの指摘がありました。
何より、介護保険から地域支援事業になれば、単価が下がるので、事業としては厳しくなること、仮に、有償ボランティアを利用するとしても、今でさえ介護人材に人が集まらずに苦労しているのだから「絵に描いた餅」になるおそれが大きいことなどが話し合われました。
私は、いつも耳にタコができるくらい聞いていますが、担当官は神妙な面持ちできいておられましたね。
それでも、「市町村に介護事業の責任を持ってもらうためには他の手段では難しい。」というのが公式答弁でした。
この後、現場の細かい苦労話、たとえば、ケアマネージャーの定期的な研修費用が高いことや、事業者間の競争が激しくて、特定加算が実際には申請できないので、介護報酬改定は常にマイナスになっていることなどが問題提起されました。
このような本音トークは、担当官にとっても新鮮だったとかで、今後も、和歌山の介護事業者と老健局の担当官との勉強会を続けることになりました。
代議士として、地元の意見を霞が関や永田町につないでいますが、地元の生の声を、官僚の皆さんに直につなぐという仕事もたいせつだなと痛感しました。これからも頑張ります。