伊藤裕香子著「消費税日記」
朝日新聞経済部の記者として、社会保障と税の一体改革を取材してきた伊藤裕香子さんから、ご著書の「消費税日記―検証増税786日の攻防」をいただきました。
早速、一読。このブログでも書いてきたように、私自身が民主党税調の役員として、末席ながら悪戦苦闘していたこの時期の記録です。
記憶が定かでなかったことも、明快に思い出すことができました。
関係者がどのような思いで、この改革に取り組んできたのか、今、この時期に検証することはとても有意義です。
ある意味で、民主党政権の採点簿の役割も果たしています。
この本は、管内閣発足直後の2010年参議院選挙からスタートしていますが、政権内での意思統一のチグハグさや、党内ガバナンスの不徹底などが描かれています。
私は、社会保障・税一体改革調査会と党税調の合同総会で、税率や増税の時期を決める議論が始まったところから、司会進行役をおおせつかりました。 この本を読みながら、臨場感を持って、当時の厳しかった空気を思い出しました。
当選1期目の私には、荷の重い仕事です。しかし、藤井裕久会長から命じられればやらざるを得ません。
結果として、半年以上続いた会合の中で、私自身、政治家としてずいぶんと鍛えられました。また、その後、社会保障と税の一体改革特別委員会の委員に選ばれるきっかけともなりましたので、今では感謝しています。
ギリシャ危機に端を発したヨーロッパの政府債務危機は他人事ではありません。
その危機感が、野田政権を支える多くの民主党議員と自民党や公明党の議員の間で共有されていたからこそ、針の穴にラクダを通すような難しい法律改正ができたのだと思います。
しかし、議院と公務員の給与はそれぞれ、約15%、約10%削減していますが、一方では、約束した衆議院議員定数の80人削減は各政党の反対を受けて、いまだに実現していません。
社会保障の改革も公務員制度改革も進んでいません。
昨年暮れの総選挙で民主党は惨敗し、政権を失いました。
少子高齢化は待ったなし。一般政府の債務残高はGDPの250%。アベノミクスが成功することを望みますが、出口戦略のリスクは高いままです。
多くの政治課題が山積みの中、政治家として、後ろを振り返っている暇はありません。志を同じくする仲間は与野党の壁を越えて大勢おられます。
自民党がタカ派色を色濃くする中、穏健保守、価値観の多様性を認めるリベラルな保守の政治勢力を結集し、社会保障と税の一体改革を成功させていくことが私の使命です。
伊藤裕香子さんのご著書「消費税日記―検証増税786日の攻防」を読み終わって、その思いが益々強くなりました。