ウイキリークスとの付き合い方―2
ウイキリークスの公電公開の動きにどのように向き合うのか。
5月4日付けの朝日新聞の紙面では、広報担当のクローリー前米国務次官補とウイキリークス代表のアサンジュ氏の取材記事が載っていました。
アサンジュ氏はウイキリークスの活動目的は「より公正で文明化された社会」を作るために「政府が不正な計画を隠すのを難しくするしくみ」が必要だと主張しています。
一方、クローリー氏は「透明性のある政府を望むかと聞かれれば、答えはイエスだ。しかし、秘密は必須だ。」と考え、ウイキリークスによって、「その前提がが壊されたのだから、影響は当分の間残るだろう。」と応えています。
今回の記事では、日本の政治家、官僚の生の声が公電の形で、表に出ました。
公電上の表現が、ほんとうに正確なものなのか?
これは大事なポイントです。通訳をつけた場合でも、直接英語でやりとりする場合でも、微妙なニュアンスが誤解されて伝わる可能性があります。
今回の私のワシントンでの発言はすべて、通訳なしの英語でしたが、リチャード・アーミテージ氏やマイケル・グリーン氏に私の意図が100%正確に伝わったか、、、、自信はありません。
また、日本の官僚機構でも、企業でも、部下が上司に報告するメモには、意図した「修正」や意図しない「デフォルメ」が入り込む余地があります。
優秀な中間管理職のすべきことは、まず上司や部下、さらには交渉相手の「期待値」を下げることです。「期待値」を下げてから、マンデートをもらい交渉の結果、その「期待値」を上回る成果を上げ続けることで、勤務評定が上がるわけです。
そんなことを百も承知の上司は、したがって、「岸本くん、百戦錬磨の君が、、そんな弱気なこと言っちゃいかんよ。もっと頑張れるだろ!!」とプレッシャーをかけてきます。
あるいは、知らず知らずの内に、「希望的観測」によって、「事実よりも楽観的な」レポートができ上がることもあります。
つまり、官僚機構の中でやりとりされる「公電」は?マークをつけながら、慎重に読み取る必要があるということです。
少なくとも、これから、私も、仕事の相手に対して、「今、言ったことは、こういう意味だからね、、、!」と何度も念を押す必要はありそうです。くわばら、くわばら。