エジプトの騒乱に思う。
今、チュニジアの「ジャスミン革命」に続き、エジプトでも民衆の騒乱が激しくなっています。実はチュニジアもエジプトも高成長が見込まれていました。
私が尊敬する、東短リサーチのチーフエコノミスト加藤出さんによると、米コンサルタント会社のAT カーニー調査「小売業の成長が見込める国」のランキングには、チュニジアが11 位、エジプトが13 位でした。この他の北アフリカ、中東等のイスラム圏の国も多数ランクインしています。
加藤さんは、より長期的な観点から捉えると、現在起きている騒乱の背後に、人口動態による影響の可能性を指摘しています。
人口の要素は、経済成長を考える時に、重要な要素です。日本も、戦後の高度成長の背景に、20歳から65歳の労働力人口の増加(人口ボーナス)がありました。その意味では、中国は経済が成熟する前に人口ボーナスが無くなるおそれがあります。
世界的にみると、ロシアを含む西洋社会の人口の比率は20世紀から、ひたすら減少の一途をたどっています。しかも、北東アジアも含め、日本を先頭に高齢化が急速に進んでいます。先進国では、アメリカを除いて、今後、人口の増加はほとんど見込めません。
一方、低所得の国々では、人口が爆発的に増えています。イスラムの国々も今後、人口の急拡大が予想されます。
その意味では、イスラム諸国の人口ボーナスを経済成長に結びつけることが重要になってきます。そこで、、、、、日本の出番です。
エジプトでのムバラク大統領への国民の批判の高まりは、インターネットが加速していることや、あまりにも長期の政権独占への怒りの爆発と捉えることができます。
しかし、若者の失業率の高さなど、人口ボーナスをうまく活用できず、富の再配分がいびつなこともその背景にあるのではないでしょうか。
人口が減っていくという逆の人口ボーナス問題に直面する日本が、過去の経験を生かして、イスラム諸国の経済成長を助けることができればチャンスです。たとえば、そのことによって日本経済も恩恵を受けられるように「システム輸出」などで貢献することが考えられます。
幸い、イスラム諸国は親日的な国が多いです。私も、国際交流基金と民間のNPO法人による日本の大衆芸能をカタールに送るお手伝いをしています。
チュニジアやエジプトの騒乱を他人事ではないと感じる感性がこれからの政治には必要です。