和歌山県知事 岸本周平 official website

Blog活動ブログ

2010年4月15日

公務員制度改革PART2

 公務員制度改革について、続きます。

 私の問題意識は、今回の国家公務員法改正によって、近い将来、政権交代のたびに、一般職の公務員幹部がコロコロと変わるような事態にならないと言えるか?です。

 「内閣官房長官が一般職の幹部職員の適格性審査をし、幹部候補者名簿を作成の上、そのプールから任免権者の大臣が適切な人材の登用をする仕組み」は、運用の仕方によれば、政友会、民政党の昔に戻る可能性はあります。

 幹部公務員のシステムにはアメリカ型の「政治任用」と英国型の「資格任用」の制度があります。

 まず、「政治任用」とは、政治家がその裁量で幹部を任用するものです。一方、「資格任用」とは、政治家の裁量ではなく、成績や能力など一定のルールによって、幹部を任用する制度です。

 アメリカは政治任用モデルです。全体で約1000人の「高級管理職(長官、副長官、次官、局長等):Executive Service 」は上院の審査、承認を経た後、大統領が任命します。いわゆるポリティカル・アポインティーで、身分保障はありません。いわば、大統領の分身として、大統領に忠誠を尽くすわけです。

 なお、約8000人程度の「上級管理職(審議官、課長クラス):Senior Executive Service」は資格任用です。このクラスは身分保障があります。

 英国は、資格任用モデルです。約4000人以上の課長級以上を対象に、上級管理職制度(Senior Civil Service)の下で、資格任用されています。当然、身分保障があります。次官、副次官は、上級公務員選考委員会の選考を経て、内閣府の公務員担当責任者(内閣府次官)の推薦により、首相が任命。

 次官、副次官以外のSCSは、公開競争、内部競争、内部昇進のいずれかにより選ばれます。その方法は各省庁の裁量で、任免権者は次官です。政治家は職業公務員の人事に介入することを自制する伝統があります。

 いずれにしても、大臣には人事権がありません。大臣の意向で公務員が任命されると、公務員の政治的な中立性が損なわれるからという考え方です。もちろん、政治任用の公務員も存在します。それは、首相の政治顧問として通常20人程度の政治任用スタッフと各大臣に二人までの政治顧問の採用(首相の許可)が認められています。

 政治任用、資格任用のどちらを採用するかは、すなわち、公務員に政治家への応答性を求めるのか、専門性を求めるのかによるものであり、それぞれの国の歴史と伝統によっています。

 アメリカ型では、幹部公務員に政治家への応答性を重視します。その代わりに、身分保証はなく、政治家と一蓮托生の運命です。英国型では、公務員は偏りのない分析や政策の検討が期待され、政治的な調整は首相、大臣などの政治家が行います。中立である代わり身分が保障されているのです。

 つまり、日本の制度改正を考える際に、英国型の「資格任用」でいくのか、アメリカ型の「政治任用」でいくのか原則を決めることが重要であることが判ってきました。

 皆さんは、どちらが良いと思われますか?

             私たちのために。
             私たちの子どもたちのために。  
             私たちの大切な人のために・・・。
             信じられない政治に終止符を打つ。
             そして、信じられる政治を創るために。

公務員制度改革!

2010年4月13日

活動ブログ
一覧へ

公務員制度改革PART3

2010年4月18日