リレー・フォー・ライフ・ジャパン2016わかやま

(和歌山城砂の丸広場で行進。)

 この週末、がん患者を支援するイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2016わかやま」が和歌山城砂の丸広場で開催されました。

 みんなで旗や横断幕を持ってトラックを歩いたり、走ったり、土日をまたいで24時間、交代しながら続けます。

 リレー・フォー・ライフは、1985年にアメリカで始まったがん患者の救済とがんの征圧を訴える運動です。

 和歌山でも県内のがん患者と医師、ボランティアなどによって、「リレー・フォー・ライフ・ジャパンわかやま」が発足し、2014年から毎年この時期に開催しています。 

 私も、NPO法人「いきいき和歌山がんサポート」のメンバーの一人として参加しました。

 このNPO法人は、がん患者と医療者だけでなく、議員、行政、企業、教育関係者の皆さんのと一緒に、がん患者とその家族が元気に過ごせる和歌山を作っていこうと活動を始めました。

 がん患者・家族をサポートするために、患者同士が話せる患者サロンを開催たりし、がん拠点病院内の患者サロン開催の支援も行っています。

 私は、代表者の谷野裕一先生が和医大におられる頃に知り合い、会員にならせてもらい応援しています。

 和歌山でも、いろんなNPO法人ができて、市民レベルで活発な活動ができていることを誇りに思いますし、その輪の中で、自分も活動できることが本当にうれしいです。

漁業資源の調査のあり方について

(農林水産委員会で質問する岸本周平。)

 私たち日本人は、まぐろ、いか、さけなどの水産物が大好きで、一人当たりの年間消費量は60キロ以上と世界でもトップクラスです。

 しかし、海の生態系は複雑ですし、大気や海洋生態系などが数十年間隔で大きく転換します。

 その結果、水産資源の状況も大きな影響を受けます。

 たとえば、マイワシについて、1980年代には年間200万トン以上のマイワシの漁獲量がありましたが、2000年代には2~6万トン台と大きく変化しています。

 そのような大きな変動を背景に、日本のマイワシ資源は漁獲可能量(TAC)制度により管理されています。

 漁獲可能量(TAC)制度とは、マイワシを含め7魚種について、農水大臣が年間の漁獲量の上限を定めて、都道府県ごとに配分し管理する仕組みです。

 その際、漁獲量の上限を決めるために、科学的な資源評価をしなければなりません。

 そのための重要なデータを集めているのが、国立研究開発法人水産研究・教育機構です。
 
 水産資源研究において、漁業調査船による調査は不可欠です。機構保有の調査船9隻、水産庁の調査船1隻の合計10隻が漁獲調査、産卵場における卵、稚魚の分布調査、生息環境の調査などを行っています。

 たとえば、小達和子博士は1950年以降40年間の動物プランクトン試料1万7000本の湿重量を測定しその大きな変動幅を明らかにしました。この試料によって、マイワシの漁獲量の変化なども説明できるなど大きな科学的成果を上げています。

 しかし、調査の現場は、予算の面などではあまり恵まれていません。

 最新鋭の調査船「北光丸」は2004年竣工で乗組員も37人の大型船です。しかし、それ以外の船は古くて小さいものです。予算がないので、経年劣化した船の装備も職員が手作業で直して使っているそうです。

 また、女性の研究員が活躍していますが、調査船では男性が絶対多数であり、最新鋭の船を除くと船内の浴室、洗濯室は1か所しかありません。女性用の時間割り当てがあるそうですが、その時間をはずすとたいへんご苦労されるとのことです。

 普段、国民の皆さんが知ることのない地道な作業を行う分野ですが、水産資源の適切な保存及び管理、調査・研究を推進するために重要な役割を果たしている調査船調査です。

 今後、安全運航に必要な人件費、老朽化した船舶の整備修繕等に必要な予算を確保し、職場環境の整備等に特段の努力を図ることが重要ですので、強く政府に要請していきたいと思います。

外国漁船違法操業への対応

(農水委員会で質問に立つ岸本周平。)

 日本は世界第6位の排他的な経済水域を持っています。

 しかも、日本列島周辺の太平洋北西海域は世界の三大漁場の一つと言われています。

 このような我が国周辺水域や遠洋水域の漁業取締りを実施するために、 水産庁では、本庁及び全国6か所の漁業調整事務所及び内閣府沖縄総合事務局に漁業取締船と取締航空機を配備しています。

 しかし、外国漁船による違法操業の事件が後を絶たない状況が続いています。

 2015年の外国漁船拿捕件数は韓国6件、中国3件、台湾3件の徑12件になっています。

 外国漁船に対する立ち入り検査の件数は同じく111件。 外国漁船によるものと見られる密漁漁具の押収件数は21件などです。

 水産庁は官船7隻、用船37隻の合計44隻体制で取り締まっています。5年前までは官船6隻、用船32隻体制でしたから改善はなされているものの、まだまだ十分な体制とは言えません。

 一方で、尖閣諸島周辺では漁船のみならず公船も来ていますし、昨年問題になった小笠原のサンゴの密猟などにも対応しなければなりません。

 経済事犯であるという前提ですから、漁業取締船に乗り込む漁業監督官の職務権限、装備は不十分です。

 一部の漁業監督官は司法警察職員に任命され、逮捕状執行などができますが、装備はヘルメット、防刃ライフジャケットなどの防具だけです。

 2013年に初めて外国船を拿捕したのですが、無許可操業の中国船は停船命令に従わず、着船して職員が乗り込んだところ逃走。その船を追いかけたわけですが、中国船に取り残された職員はまさに命がけでした。 

 昼夜を問わない無許可漁船等外国漁船の取締りは、肉体的・精神的に負担が多く、漁業監督官の事故や怪我の発生が懸念されます。

 危険が伴う外国漁船等への立入検査や違法設置漁具の回収に際して、現行法で十分ではありません。改正が必要ですが、まずは、警察権を有する海上保安庁との連携を密にしていかなければなりません。

 その上で、悪質、巧妙化、広域化している外国船の違法操業に対し、たとえば、漁業監督官が複数名乗船できる人員を確保することなど安全運航に必要な予算と人員の確保など緊急に環境整備を図るべきです。

私たち政治家は、このように地味ながら重要な政府の仕事にもしっかりと目配りしなければなりません。

BSフジ『ブラマヨ談話室~ニッポン、どうかしてるぜ!~』出演のお知らせ

BSフジ 『ブラマヨ 談話室~ニッポン、どうかしてるぜ!~』 に出演します!

http://www.bsfuji.tv/danwasitsu/index.html

放 送: 5月8日(日) 24:00 ~ 24:30

出演者:ブラックマヨネーズ、 岸本周平 他

ブラックマヨネーズからの疑問・質問に岸本周平が答えます!
盛りだくさんの内容になっております。

放送後~1週間の間、Tver(民放公式テレビポータル)でも
無料でご覧いただけます。

http://tver.jp/

ぜひご覧ください!

連休中の街頭演説

(ヒダカヤ西ノ庄店)

 連休中は、スーパーマーケットを回っての街頭演説が恒例に。11年続けています。

 外国や国内の旅行に行く人ばかりではありません。連休中も働いている方の方が多いです。

 しかも、連休中は旦那さんが荷物持ちに付いて来るのでラッキーです。

 連休街頭の初日、5月3日の和歌山市内は暴風警報が出ていましたが、一日中スーパー巡り。私たちがお供えと呼んでいる清涼飲料水など沢山いただきました

(公園前交差点)

 5月4日も朝から街頭演説三昧の一日。最高気温25℃とさわやかな気候でした。

 普段の週末でも近畿二府四県ナンバーの車を見かけますが、連休中はさまざま。

 鹿児島、北九州、島根、鳥取、品川、長野、相模、新潟などなど。

 浪人中に、奈良ナンバーの車に手を振らなかったら、「私ら引っ越してきたばっかりやから奈良ナンバーやけど、和歌山市民やで、気いつけや!」と一言。

 以来、他府県ナンバーでも、気をゆるめずに笑顔で手を振っています(汗)。

(自転車街頭のひとコマ)

 5月5日子どもの日の街頭演説は自転車で和歌山市内を回りました。

 さわやかな風を受けて走るのは気持ちの良いものです。

 和歌山の皆さんは、私の自転車姿に慣れていますが、他府県ナンバーのドライバーさんはビックリ。「えっ!何これ?」という表情が楽しみです(苦笑)。

2016年 岸本周平 感謝の集い

春光うららかな季節を迎え、皆さまには益々ご清祥のことと存じます。

日頃は、私の政治活動を応援していただき、心より感謝申し上げます。おかげさまで三期連続小選挙区の勝利を得て、国政の場で堂々と活動ができております。今一度、政権与党に帰り咲き、「ふつうの人から豊かになる」政治を実現しなければと心に誓っております。

つきましては、下記の日程で、岸本周平の国政報告を兼ねた「感謝の集い」を行いたく存じます。皆さまお誘い合わせのうえ、ご参会くださいますようお願い申し上げます。

日 時●2016年5月22日(日)18時開演(17:30入場開始)
会 場●ホテルアバローム紀の国 2階「鳳凰の間」
〒640-8262 和歌山市湊通丁北2-1-2 TEL:073-436-1200
会 費:5,000円(着席バイキング方式)

※当日受付でのチケット購入は混雑が予想されますので、よろしければ事前にご購入をお願いいたします。
※座席のご予約・ご指定はできませんのでご了承ください。

主 催:岸本周平後援会、WAKAYAMA未来会議
連絡先:TEL:073-402-1234(後援会事務所9:00~17:00)
〒640-8128 和歌山市広瀬中ノ丁2-98(宮脇書店2階)

この催し物は、政治資金規正法第8条2項に規定する政治資金パーティーです。

第8回沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」

(沖縄国際映画祭のクロージングセレモニーであいさつをする岸本周平。)

 第8回沖縄国際映画祭 「島ぜんぶでおーきな祭」に行ってきました。

 経産省のメディアコンテンツ課長として、東京国際映画祭を担当して以来、三つ子の魂百まで、、です。

 毎回、お招きにあずかり押しかけています。

 今年は最終日の24日(日)、那覇市国際通りでのレッドカーペットから参加しました。

(国際通りのレッドカーペットを歩く友近さん。)

 那覇市は27度と夏日の上、湿気があって、もはや夏。例年よりも早く、連休前に梅雨入りしそうだと地元の方の声でした。

 昨年までは、3月下旬の開催でしたので、一か月でこうも気候が違うのかとびっくり。

 それにしても、映画祭実行委員長の大崎洋吉本興業社長の情熱には頭が下がります。

(大崎洋吉本興業社長のごあいさつ。)

 「Laugh & Peace」をテーマに、沖縄県全県、全島でエンターテインメントの祭典をするんだという意気込みで、8年前にスタート。3年前から、「島ぜんぶでおーきな祭」と銘打って、県下41市町村を巻き込んでしまいました。

 那覇市国際通りのレッドカーペットが実現したのは3年前に、当時の翁長雄志那覇市長が快諾してくれたからだそうです。

 大崎社長としては、沖縄戦後、「奇跡のワンマイル」と呼ばれた戦後復興の聖地である国際通りを本土の人間が歩いてよいのか、、という複雑な思いもあったそうです。

 しかし、今の翁長知事は、それも飲み込んで、OKを出してくれた恩人だと、大崎社長は言います。

 こんな大崎社長の思いに共感して、私も、毎年足を運ばせていただいています。

(沖縄芸人宮川たま子さんとのツーショット。)

 映画祭に先立って、吉本興業はエンターテインメント人材を育てる学校法人を2018年秋に沖縄県内で開校することを発表ししました。ダンスや歌唱、漫才などに加え、衣装デザイン、特殊メーク、CGや照明など裏方の技術も教える予定だそうです。

 沖縄映画祭を軸に、沖縄を総合エンターテインメントの島にするという大崎社長の夢が一歩ずつ進んでいます。

 クロージングセレモニーでのあいさつでは、次のようにお話ししました。

 「今、与党の政治家の皆さんがあいさつをされました。

 私は、野党の代議士ですが、映画祭に与党も野党もありません。超党派で応援していきます。

 大崎社長は、沖縄映画祭を100年続けるとおっしゃいました。

 皆さん、あと92回頑張りましょう!!」

 

東京オリンピック・パラリンピックで日本の食材が使えない?

(衆議院農林水産委員会で質問する岸本周平。)

 今日の農林水産委員会で、タイトルの観点から質問に立ちました。

 以下、その概要です。

 今話題のTPP協定ができれば、日本の農林水産物の輸出を増やすことができると安倍内閣は宣伝しています。

 私も、日本の品質の高い安全な農林水産物の輸出促進には大賛成です。しかし、安倍内閣の掲げる、現在約7000億円の輸出を1兆円に増やすという目標はある意味眉唾(まゆつば)です。

 いわゆる農林水産物・食品の輸出額の内、上位10品目を見ると、水産物や、アルコール飲料、清涼飲料水、たばこ、ソース混合調味料などです。

 清涼飲料水の輸出の主なものはオロナミンCやポカリスエットなどですから、清涼飲料水の輸出が増えても、日本の農家の所得は増えません。

 農林水産物・食品の輸出額の内、リンゴ、牛肉などの生鮮農産物の占める割合は5%程度です。

 いたずらに農林水産物の輸出でバラ色の夢を振りまくことには反対ですが、地道に輸出を増やす努力をすることには賛成です。

 しかし、海外で買ってもらうためには農産物ならグローバルG.A.P.、食品ならHACCP、木材ならFSC(Forest Stewardship Council)などの認証取得をしなければなりません。

 一方で、日本では国際認証に関する意識が低く、たとえば、グローバルG.A.P.については、今年の1月時点で282件しか取得していません。これでは、輸出したくても海外では売れません。

 農林水産省は、一般財団法人食品マネジメント協会という天下り団体を作って、日本独自の認証を作ろうとしています。

 しかし、国際的な団体のGFSI(Global Food Safety Initiative)が承認するスキームでなければ、意味がありません。グローバルG.A.P.はGFSIの承認を得て、世界130カ国で15万件の認証をしているデファクトスタンダードです。

 今から、日本独自の認証システムをつくってGFSIの承認を受けるよりもグローバルG.A.P.を一日も早く日本の農業に適用する努力をすべきです。

 食品に関するHACCP導入についてもまだ3割程度の段階です。

 導入が遅れている要因としては、HACCPは製造工程でのリスクを分析しリスクの生じる行程を管理することで、安全を確保する「やり方」の問題なのですが、設備投資などが必要だとの誤解があることなどが指摘されています。

 そのような問題点を克服するために政府はもっと努力をすべきです。

 国内で、グローバルG.A.P.をベースにした独自規格で認証をする団体もありますが、GFSIに認められないので、国際的には通用していません。木材でも、全国木材組合連合会が母体となった組織による合法証明は国際的に評価されていません。

 2012年オリンピック・パラリンピックロンドン大会での食材(農産物、畜産品、水産品)や木材の調達基準はたいへん厳しく設定されています。

 英国国内の認証制度であるレッドトラクター認証やグローバルG.A.P.が基準とされ、特に水産品に関してはFAO(MSC認証を含む)が基準とされています。木材に関しては先述のFSCが適用されます。

 日本で開催されるオリンピック・パラリンピック大会では国際社会に対して恥ずかしくない調達基準を設定することが海外から求められています。

 この際、海外からの圧力を逆手に取って、国際認証であるグローバルG.A.P.やFAO、FSCなどを基準とすることで、国内の意識改革を進める絶好の機会にするべきではないでしょうか。

 今、日本の水産物でMSC認証が取れているのは北海道のホタテと京都のアカガレイの二つだけです。グローバルG.A.P.は先述の通り282件だけ。

 このままでは、2020年の東京の選手村では日本の食材はほとんど使えないことになります。

 東京オリンピック・パラリンピックでの食材(農産物、畜産品、水産品)および木材の調達基準に国際認証を用いることをきっかけに、農林水産物の輸出大国を目指そうではありませんか。

農林水産委員会 質問に立ちます!

4月21日(木)午前10時ー10時30分 の30分間

一般質疑(農林水産関係の基本施策に関する件)で質問に立ちます。

下記の衆議院インターネット中継TVで、質疑の様子がご覧頂けます!
http://www.shugiintv.go.jp/jp

TPP協定は日本の砂糖農家を直撃する

(衆議院TPP特別委員会で質問する岸本周平。)

 本日、衆議院TPP特別委員会で質問に立ち、TPP協定による砂糖農家への影響について議論しました。

 国内の砂糖の原料生産は北海道のてん菜、鹿児島県及び沖縄県のさとうきびで、それぞれの地域の基幹産業です。

 食料自給率の確保、地域振興などの国土政策、さらには離島防衛の観点からの安全保障政策とも密接に関係します。

 北海道のてん菜は、小麦やばれいしょなどとの輪作(十勝の4輪作、網走の3輪作)の重要な部分を占めており、これが欠けると地域経済が消滅するおそれもあります。

1.糖価調整金収支の悪化問題 

 価格の安い輸入砂糖との競合から国内生産者を守るために、所得保障などの支援策がとられてきました。

 この経営安定化支援の財源負担は、おおむね調整金500億円、一般会計100億円の枠組みで行われてきました。調整金は、精製糖企業が価格に転嫁して消費者に負担をお願いする仕組みです。

 しかし、この制度は不安定で、累積赤字は一時700億円を超えました。平成18年には、砂糖生産振興基金から470億円、平成22年には一般会計から329億円を拠出して対応しました。

 その後平成23年度より単年度黒字になりましたが、なお累積181億円の赤字があります。この赤字が発生した要因の一つとして、後程説明する加糖ココア粉などの加糖調製品の輸入の増大が指摘されています。

2.砂糖へのTPP対応

 輸入の砂糖には関税の他、糖度の高さに応じて調整金が課されています。今回のTPP協定によって、高糖度原料糖の内、99.3度未満のいわゆる「ハイポール」は関税が無税になる上、調整金が糖度の低い一般粗糖より1.5円安になります。

 そうなるとタイ産の粗糖の一部が豪州のハイポールに代替される可能性が高くなります。結果として、調整金収入が減少することになります(北海道農協中央会の試算では約20億円の調整金の減少。)。

 これでは、今でも不安定な糖価調整金制度の財政にマイナスの影響を与えます。

3.加糖調製品

 調整金制度のない加糖調製品はこの10年間で40万トンから50万トンに増加しました。

 加糖ココア粉は1割がココアの粉で、残りの9割が砂糖ですから、調整金がない分だけ有利な加糖調製品の輸入が増えれば、国内の砂糖の需要は減ることになります。

 今回のTPPでは、この加糖調製品に関税割当枠をつくり、枠内関税を引下げます。

 たとえば、加糖ココア粉は関税割当初年度5000トンから6年目75000トンになり、関税も29.8%から11年目には14.9%に優遇されます。現在約9万トンの加糖調製品輸入の内、TPP参加国からは54000トン、その内シンガポールが約4万トンと8割弱を占めています。

 農水省の「影響分析(2015年11月)」でも「安価な加糖調製品の流入により、糖価調整制度の安定運営に支障が生ずることも懸念される」と評価されています。同じく「影響試算(2015年12月)」では、「制度対象外の加糖調製品等への関税割当の設定等により、これらの輸入が増加」としています。試算ではキロ当たり5円の価格下落圧力を想定しており、国内産業への影響は大です。

 今回、加糖調製品にも新たに調整金が課されることになりますが、本来、TPPとは関係なく実施すべきでした。ハイポールの輸入促進策に加え、加糖調製品の輸入増加によって価格下落圧力が強まる上、調整金収支の悪化により経営所得安定化対策の根幹がゆらぐおそれがあります。

4.新たに調整金を賦課する加糖調整品とガットバインド

 制度の対象になる加糖調整品の調整金額は農水省によると70億円から100億円程度になります。しかし、加糖調製品に調整金をかけると言っても、関税の枠内での振り替わりであるため、抜本的な解決策にはなりません。

 貿易交渉の中では、ガットバインドというものがあって、代償措置を出さなければ、関税を減らした分しか、調整金などの相殺関税等がかけられません。結局、今回のTPP協定でも関税が下がった分しか調整金が取れない仕組みです。

 しかし、全体のTPP交渉の中で、他の関税を下げることで代償措置を出せば、ガットバインドをはずして、関税に加えて調整金を賦課することも可能ではなかったか。

 少なくとも、交渉技術としてこのような高いボールを投げることで有利な交渉もできたはずですが、交渉過程でそのような主張は行ったのか明らかにはなりません。

 TPP参加国の内、加糖調製品に利害関係のある国はシンガポール、マレーシア、豪州です。米国は関係ない上、米国自身は加糖調整品に関して砂糖と同様に高い関税をかけています。米国とタッグを組んで交渉することもできたはずです。

 平成12年5月の衆議院農林水産委員会の砂糖の価格安定等に関する法律等の一部改正法案付帯決議では、「砂糖の需要拡大を図るため加糖調製品対策に取り組むこと。」とされています。しかし、この間、政府はまったく決議を守ろうとしてこなかったことが問題です。

5.「食料・農業・農村基本計画」との整合性

 さらに、昨年決定された「食料・農業・農村基本計画」では、砂糖の生産は精糖換算で、平成25年度の69万トン(てん菜55万トン、さとうきび14万トン)を平成37年度に80万トン(てん菜62万トン、さとうきび18万トン)を目標に掲げています。

 TPP協定の結果、加糖調製品の輸入が増えて、国内砂糖の需要自体が減少する中で、国内の生産量を増やしていくことは不可能でしょう。しかし、政府は食料・農業・農村基本計画の見直しは否定しています。

 その理由として国内対策を充実するとのことですが、体質強化対策としては、産地パワーアップ事業(27年度補正505億円)、加工施設再編等緊急対策事業(27年度補正46億円)、外食産業等と連携した需要拡大対策事業(27年度補正36億円)などすべて他の農林畜産物を対象とする事業の内数でパンチ不足です。

 これでは、てん菜やさとうきび農家が安心して営農を継続することは困難です。