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2016年3月2日

田口佳史著「ビジネスリーダーのための『貞観政要』講義」

(田口佳史著「ビジネスリーダーのための『貞観政要』講義」、光文社、2015年11月)

 田口佳史先生の近著「ビジネスリーダーのための『貞観政要』講義」を読みました。

 田口先生には長年、「書経」を教えていただいてきました。

 政治家の仲間と、何度も何度も、輪読を重ねる勉強会を重ねてきましたが、最近は講座がお休みになっており、田口先生の謦咳に接する機会がなく残念に思っていました。

 本書を読みながら、田口先生の肉声を聞く思いがしました。

 それもそのはず、本書は慶應丸の内シティキャンパスの講義を書籍化したものですから。なので、とても読みやすくなっています

  「貞観政要」とは、唐の二代皇帝太宗の言行録です。部下との対話形式になっています。

 中国だけでなく日本でも、旧くから帝王学の古典とされ、北条政子や徳川家康の愛読書として有名です。

 山本七平さんも「帝王学―『貞観政要』の読み方 (日経ビジネス人文庫)」を書かれています。

 田口先生は、前書きで次のように書かれています。

 『「トップを厳しく諫める人がいない」「トップが耳の痛いことを言う人を遠ざけ、直言に耳を塞ぐ」ようになると、結果的に組織は危機を迎え、弱体化し、やがて衰退の一途をたどることになります。 『貞観政要』は、現代社会にも常態としてある、この〝古くて新しい問題〟に、 「きれいごとではない、現実に肉薄した形」で鋭く切り込んでいます。だからこそ、「いま読む」意味があるのです。』

 「謙虚に部下の意見に耳を傾け、己の欲は最小限に抑えるべし。」という、いわば当たり前のことが当たり前にできない私たち凡人には、何度読んでも、心に思い当たる節があって赤面する本です。

 人物を見抜くポイントは「六観」、部下としての心得は「六正六邪」。

 リーダーとして常に心にとどめ置くべきことは「十思」、積むべき徳は「九徳」。

 ある意味、「マニュアル本」とも言えるのですが、実行することは至難の業であるという意味で奥の深い書物です。

 全編を漢文で読む時間も能力もない私には、このような講義録は、宝物です。

 ビジネスパーソンの皆さんにご一読をおすすめします。

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