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2015年7月30日

穏健中道のリベラル保守政党は作れるのか?

(中野晃一著、「右傾化する日本政治」、岩波新書)

 中島岳志著、『「リベラル保守」宣言』の触発され、穏健中道のリベラル保守政党を作らなければならないと思い詰めて活動してきました。

 しかし、多忙な国会での業務に加え、週末の街頭演説、ミニ集会などの合間では、なかなか理論構築のいとまがありません。

 やはり、専門家を招いて、理念の構築を行うしかないのではないかと思うようになりました。

 そんな中、中野晃一著、「右傾化する日本政治」(岩波新書)は、大きなヒントを与えてくれました。

 著者は、55年体制下での自民党保守本流を中心とする旧右派連合の成功の要因を「開発主義」と「恩顧主義」に整理し、一方で、革新勢力が持った「三分の一」の役割と限界を示しています。

 しかし、開発主義で得た利益を恩顧主義に使うという、旧右派連合の金銭的コスト負担に関する国民意識が壊れるとともに、旧右派連合も破たんする。それは、赤字財政と、金権選挙による腐敗政治として現れました。

 その後、旧右派連合の枠内で中曽根総政権が新右派転換を行い、「新自由主義」と「国家主義」に裏打ちされた新右派連合の時代に突入します。

 そして、自社さ政権による革新側のささやかな揺り戻しの後、国際協調主義が影をひそめ、歴史修正主義のバックラッシュが始まります。

 新右派転換の集大成としての小泉政権下では、靖国参拝、排外主義、ジェンダーバックラッシュが起き、著者は「政治の新自由主義化」と説明します。

 そして、「反自由の政治」としての第1次安倍政権が成立。

 その後の、民主党政権の誕生も、民衆的な基盤を欠いており、「民主的刷新なき自由化」に過ぎなかった。致命的な民主的基盤の弱さから、民主党は「総崩れ」し、雲散霧消。

 第2次安倍政権では、軍事、経済面での対米追随との引き換えに復古的国家主義がどこまで通用するかというチャレンジが行われています。雇用劣化と格差社会を作り、歴史修正主義と排外主義が進んでいます。

 著者は、このような右傾化に対抗するため、自由主義(リベラル)勢力と革新(左派)勢力の連合を説きます。

 そして、リベラル勢力には新自由主義との訣別、国際協調主義のなかの節度を持った対米協調、同一性にもとづく団結から他者性を前提とした連帯により、民衆的基盤を広げるべきだと提言しています。

 一方、左派勢力には自由化・多様化をいっそう進めることを提言。 

 リベラル保守の立場からは、にわかに左派勢力との連携を肯定できませんが、中野教授の論考には大いに触発されました。

輝く女性ー地球環境ファシリティ石井菜穂子CEO

2015年7月29日

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2015年7月31日