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2015年5月13日

都市農業の振興のために

(農林水産委員会 で質問する岸本周平。)

 先般、都市農業振興基本法が成立しましたが、農水省はこれまで、都市農業に関しては、相対的に熱意がなかったと思います。

 食料・農業・農村基本計画でも、10行程度の言及に過ぎず、また、「農作業体験や交流の場」、「防災機能」など副次的な機能が強調され、本格的な農業振興への取り組みが見られません。

 それは、農水省の官僚は都市農業イコール「市街化区域内の農地」での農業をイメージしているからです。

 しかし、私の選挙区の和歌山市のように県庁所在市でも、中心市街地から車で10分も走れば、田園地帯がある地域でこそ、本格的な高収益の都市農業を振興すべきです。

 和歌山市では、ショウガや水菜、大根などの栽培によって、認定農業者として高い所得を得ている農家が続々と生まれています。

 6次産業化に成功している地元のJAわかやまのヒット商品「生しぼりジンジャーエール」も名産のショウガを使っています。

 ここでは、振興基本法の第2条で定義されている通り、「都市農業」とは市街地及びその周辺の地域において行われる農業と考えて議論を進めます。

 振興基本法第13条には、的確な土地利用に関する計画の策定等のための施策がうたわれていますが、これまで、ゾーニングの適正な措置、運用について農水省として、国土交通省との連携も十分ではありませんでした。

 そのため、都市周辺のスプロール化が進み、まとまった農地が消失し、また水田の保水機能が衰え、洪水の被害なども増加しています。今からでも遅くないので、厳しいゾーニングにより、都市農業を守るべきです。

 また、基本計画等で、農業経営の法人化や、企業の農協参入を推進する立場を取っておきながら、農水省関係の法人税制上の施策がまったく充実してません。

 特定農産加工品生産設備等の特別償却、農業経営基盤強化準備金、農用地を取得した場合の課税の特例など、今ある租税特別措置の利用も不十分です(租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書)。

 振興基本法第14条で、必要な税制上の措置を講ずる旨が規定されています。

 たとえば、意欲的な農業者からは、相続税の納税猶予を受けている農地を借りることができないかという声が出されています。このような要望を踏まえ、相続税の納税猶予を受けている都市農地についても貸借を認めるような改正をただちに行うべきです。

(5月13日の農水員会での質疑の模様。)

 振興基本法第21条には関係省庁の連携協力がうたわれています。

 冬場の都市農業にとっての課題は水の確保です。水利組合との調整や河川管理者の無理解により、現場では困っている事例が多く、都市農業における農業用水問題に関して農水省は早急に対策を講じなければなりません。

 河川管理の国土交通省との連携協力を求めます。

 振興基本法第16条には、「高齢者、障害者等の福祉を目的とする都市農業の活用の推進」という表現があります。

 たとえば、愛媛県松山市で、佐伯康人さんが経営している(株)パーソナルアシスタント青空は農業を障害者の働く場として活用し、成功している事例の一つです。

 自然農業を推進している「奇跡のりんご」の木村秋則さんに師事し、無農薬、無肥料の自然栽培で成功しています。都市地域での農福連携に関するヒントがここにあります。

 農水省の上から目線の指導ではなく、民間の成功事例を縁の下で応援するような形で、都市農地を活用し、農福連携を積極的に進めるべきです。

 農協改革に関して、私たちは対案を国会に提出していますが、農協を地域の協同組合として再定義する提案をしています。

 地域の住民の理解があって、一緒に街づくり、地域起こしをしていくことが重要です。

 都市農業の振興も、都市住民の理解と協力が不可欠です。振興基本法第18条でもそのことが強調されています。

 都市農業振興基本法の成立を契機に、地産地消、新鮮で安心な農産物の供給、防災や良好な景観の維持の観点など都市農業の多様性を生かしつつ、特色ある主業農家の経営が可能になるよう努力を続けます。 

農林水産委員会 質問に立ちます!

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