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2014年9月9日

引きこもりの問題にどう対処するか。

(和歌山県紀の川市の「創 HAJIME Cafe」の店内。)

 引きこもりの問題はなかなか、身近に感ずることはないかもしれません。

 そもそも、引きこもりは不登校の問題と同じように考えられてきました。

 したがって、引きこもりの問題はイコール若者の問題として、解決策も若者中心でした。

 しかし、最近では引きこもりの長期化や、社会に出た後に引きこもりになってしまうケースが増加し、30代、40代の年齢層も増えています。

 山形県の実態調査(2013年)によれば、「15歳以上の県民のうち、引きこもりは1607人。そのうち40代以上が717人。」との結果が出ました。

 そのような状況の中で、秋田県藤里町の社会福祉協議会の成功事例が注目されています。

 藤里町は、人口3800人の町で、65歳以上の高齢者が人口の4割を超えています。

 藤里町社会福祉協議会がひきこもりの調査を始めたのが、2006年。その結果は、予想以上に多く、100人以上。 現役世代のおよそ10人に1人でした。

 担当者は、事務局長の菊池まゆみさん。

 卓球やカラオケ大会などを企画して、まず、外へ出て来てもらおうとしましたが、反応なし。
 
 しかし、引きこもりの若者たちが本当は働きたいと思っていることに気が付きます。

 菊池さんは、方針を転換し、失業者のための支援事業(ホームヘルパー2級などの研修が受けられ、資格を取ることが可能)を紹介し、今では、三分の一以上の元引きこもりの若者が福祉の現場や商店街で働いています。

(和歌山県紀の川市の「創 HAJIME Cafe」の店内。)

 一方で、和歌山県では、まだまだ、引きこもりの対策が遅れています。

 そんな中、社会福祉法人一麦会が紀の川市で「引きこもり者社会参加支援センター」を運営しています。

 通所支援に加え、引きこもりの青年たちが働く場である、「創 HAJIME Cafe」というカフェも経営しています。

 場所は紀の川市粉河853、JR粉河駅前の築100年の古民家「山崎邸」。木・金・土の11時から15時までオープン。何だか、とっても温かい気持ちになれる空間でした。

 自家焙煎のおいしいコーヒーにびっくり!本格熊野牛カレーも大人気。ぜひ、一度、立ち寄ってみてください。

(野中康寛さんと記念撮影。)

 野中康寛さんはじめスタッフの皆さんと働く仲間の信頼関係が、癒しの空間につながっているような気がします。

 20年間引きこもりの経験のある仲間も経営に責任を持って、給与を歩合制でもらいながら働いています。

 築100年の山崎邸が「ふれあい寺子屋」など地域の活動拠点になり、また、創カフェと地元の高校生とのコラボが軌道に乗り始めました。

 この施設は、引きこもりの経験のある若者に働く場を提供することに成功していますが、いかんせん、潜在的な需要に対して、成功事例が少なすぎます。

 やはり、市町村の首長さんのリーダーシップで、本気で取り組んでいただくことが重要になってきます。

(障がい者の作業所「ボングリ図画耕作所」の奥野亮平さんの作品。)

 「山崎邸」の敷地内には作業所「ボングリ図画耕作所」が同居しています。

 通常の作業所とは違い、芸術作品をつくって販売したり、「チンドン屋」のサービスを提供しています。

 責任者の奥野亮平さん方針で、明るく楽しい作業所運営が行われています。

 これらの相乗効果などがあって、ここは不思議な場所です。一見の価値あり!!ぜひ、一度訪ねてみてください。そこから、みんなで「引きこもりの問題」を地域課題として、考えてみませんか。

(「創 HAJIME Cafe」のある「山崎邸」の門構え。)

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