民主党の進むべき道ーその3
(5)経済成長戦略を考え直す
安倍内閣の今の成長戦略は、7年前の第一次安倍内閣当時の政策の焼き直しに過ぎません。民主党政権時代の成長戦略も内容的に大きな違いはありません。
経済を成長させるのは、あくまでも民間経済主体です。そろそろ、政府主体の政策で経済を成長させることができるという幻想を捨てるべき時期ではないでしょうか?
2013年の経済成長の内容も、財政のバラマキによる公共事業と、消費税率引上げ前の住宅投資の駆け込み需要が中心です。
政府は、法人税率の引下げや規制緩和によって企業の活躍の場を提供することに徹すべきで、補助金や租税特別措置などで官僚の仕事や権限を増やすことは止めるべきです。
あえて言えば、「企業は人なり」ということで「人材」をどう育てるかが重要です。
日本は、先進国の中では、性、年齢、障がいの有る無しなど自分の努力ではどうしようもできないことで差別されることの多い国です。この壁を打破することで、一人一人が経済活動の面でも「居場所と出番」を得られるようにすることが、人材を育てることになるはずです。
たとえば国会議員の女性クオーター制導入、定年制の廃止、障がい者雇用の抜本的見直しなどが政策ツールとして考えられます。
正規、非正規を問わず「同一労働同一賃金」にし、社会保険適用の差も無くします。また、配偶者控除や基礎年金の第三号被保険者問題などに真正面から挑戦すべきです。
そして、外国からの留学生を増やし、大学や大学院卒業生には、条件付きで「永住権」を与えるなどのインセンテイヴを与えて、日本企業への就職を後押しします。日本の学生も刺激を受けて能力が高まるはずです。
このような基礎的な社会インフラを変えていくことが、真の経済成長戦略であり、それは政府にしかできないことなのです。
(6)財政再建と社会保障
日本の財政は、既に危機的な状況に陥っています。毎月発行される国債の7割を日本銀行が買い支える財政ファイナンスを行ってようやく国債の低金利を維持しているに過ぎません。
せっかっくの消費税の税率引上げも安倍内閣の財政バラマキによって効果を相殺され、10%への引上げを見送るようなら市場からの反乱を覚悟しなければならない状況です。
また、経済成長のためにも財政再建が必要です。有名なラインハートとケネスの論文によれば公的債務負担がGDPの90%を超えると、経済成長率を押し下げるとの結果が出ています(推計に技術的なミスがあったものの、大勢は変わらないという評価)。
財政再建のためには、年々自然増が見込まれる社会保障をスリム化する以外に道はありません。本当に困っている方々への社会保障給付は充実すべきですが、一般的な部分は削減するメリハリが必要です。
給付付き税額控除を勤労促進的な生活保障制度として導入し、最低保障年金と組み合わせることなどこれまでの民主党の政策を推進する一方で、各種の自己負担はその比率を引上げざるを得ないことを国民に訴えるべきです。
景気が良くなって税収が増えれば、財政再建は可能などという不誠実な説明が通用する事態ではもはやないのです。