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2013年11月15日

憲法を守るということ

 憲法第99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定しています。

 したがって、皇室からのメッセージは憲法を守ることが前提となっています。

 天皇陛下も皇后陛下もお誕生日には、宮内記者会の質問に答える形で文章を発表されています。

 今年の皇后陛下のお言葉には次のようなくだりがありました。質問は「皇后さまにとってのこの1年、印象に残った出来事やご感想をお聞かせ下さい。」というものです。

「皇后陛下お誕生日に際し(平成25年)」(宮内庁のホームページから引用)

 『5月の憲法記念日をはさみ,今年は憲法をめぐり,例年に増して盛んな論議が取り交わされていたように感じます。主に新聞紙上でこうした論議に触れながら,かつて,あきる野市の五日市を訪れた時,郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。

 明治憲法の公布(明治22年)に先立ち,地域の小学校の教員,地主や農民が,寄り合い,討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で,基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務,法の下の平等,更に言論の自由,信教の自由など,204条が書かれており,地方自治権等についても記されています。

 当時これに類する民間の憲法草案が,日本各地の少なくとも40数か所で作られていたと聞きましたが,近代日本の黎明期に生きた人々の,政治参加への強い意欲や,自国の未来にかけた熱い願いに触れ,深い感銘を覚えたことでした。

 長い鎖国を経た19世紀末の日本で,市井の人々の間に既に育っていた民権意識を記録するものとして,世界でも珍しい文化遺産ではないかと思います。』

 この1年のご感想と言う一般的な質問に対し、あえて憲法の問題を取り上げあられ、「基本的人権の尊重」や「教育の自由の保障」、「言論の自由」、「信教の自由」などに、明確にコメントされている姿勢に、今の憲法論議の方向性に対するメッセージを感じるのは私だけの独りよがりでしょうか。

 基本的人権をないがしろにし、表現の自由などを制限しようとする自民党の憲法草案や、道徳を正規の科目にし、点数で評価しようとする文部科学省の動向へのおだやかな注意喚起のように思えてなりません。

 皇室が、憲法を守る立場に立たれるのは憲法第99条だけの理由ではありません。

 そもそも、「大国主命の国ゆずり」の神話でも明らかなように、日本の皇室の統治の論理は「しろしめす政治」、つまり、国民すべての心の内を知り、国民のニーズに応じた政治を行うことに特徴があります。

 神武天皇の建国の詔(みことのり)でも、まず「民」を「おおみたから」と呼んで「民」に幸福を与えることができれば、それは自然の摂理に従うことになると宣言されています。

 ある意味、神話の時代から日本的な「民主主義」が建国の精神であったわけです。近代的な日本では、「民」の幸福を守る基本的なルールが憲法ですから、自ずと立憲主義につながるわけです。

 その伝統の流れの中で、皇后陛下のお言葉がつむがれたのではないでしょうか。

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