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2013年10月9日

イギリス労働党改革に学ぶ 3  ニューレイバーとは何か

 それでは、ブレアの「ニューレイバー」とは、いったい何だったのか?

 まず、従来の右派と左派のイデオロギー対決からは距離を置きます。要すれば、国民のためになる政策は何か、それを実行するにはどうすればいいかという「実務的」なアプローチを優先する立場です。

 ブレアはそれを時に「近代化」「進歩主義」などと言う表現で表します。

 ニューレイバーの基本は「公的サービスにおける選択と質」、「福祉と公的秩序における権利と責任」です。

 公的サービスにも効率という概念の下、民間活力や競争を導入するということです。したがって、官僚機構や既得権益の抵抗はすさまじいものがありました。

 そして、福祉で言えば、たとえば、「失業者に雇用機会を与えると同時に、失業者が一定の責任を受け入れること」が当然になります。新しい雇用政策は、国と個人のあいだのパートナーシップであって、バラマキ政策ではないのです。

 社会崩壊を防ぐために、軽犯罪の取り締まりを厳しくする権限を警察に与えます。これなどは、本来保守党的な政策でしたが、公的な秩序を重視するのがブレアの真骨頂です。

 そして、教育改革には情熱を傾けました。初等中等教育の充実には予算も倍増しました。一方で、無料であった大学教育に授業料を導入。大学に緊張と財源を与えました。学生には借入れ制度、学費贈与制度などが設けられています。

 国民健康保険(NHS)の改革にも、「選択」、「民間部門の導入」、「スタッフの労働慣行の広範な変更」で対応しました。

 不法移民問題の解決策との触れ込みで、IDカードの導入にも取り組みました。ブレアには、将来の民間部門との相互乗り入れまで念頭にありました。

 イデオロギーからフリーで、サッチャー主義も経済における分野では、幅広く受け入れたニューレイバーは、「経営者対労働者というものの考え方は完全に時代遅れである。」と喝破します。

 そして、「政府の政策は、労働市場の規制ではなく生涯を通じての技能の向上を重視するものでなければならない。」

 また、個人所得税は据え置く(最高税率は上げない)ことになり、企業を支持するが労働における公正さも支持する(労働組合支持ではない)ことになります。

 一方で、ブレアは「進歩主義」という名の下に、左派はリベラル、右派は非リベラルのステレオタイプまで打ち破ります。2005年には、同性の結婚を認めるシビル・パートナーシップ法を保守党の賛成も得て成立させました。

 言わく、進歩的政治は「犯罪には厳しく、同性愛の権利に好意的な」政治である、と。

 それは、「個人的な生活にかかわることは自らの選択だが、他人に対してすることはそうではない。」との考え方に基づくものです。

 このニューレイバーの思想は、ブレアが自らも認める「中産階級」的な価値観を体現するものとなっています。その中には、イギリス流の労働者階級の中で、向上心を持って中産階級になることを望む人々も含まれます。

 頑張った人が報われる社会。そのような機会を与える政治。一方で、最も弱い人々には寄り添う政治。ブレアの求めるニューレイバーの政治です。

イギリス労働党改革に学ぶ 2 党内ガバナンスの改革

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