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2013年5月17日

クール・ジャパン推進機構法案の代表質問@衆議院本会議

 今日は、衆議院本会議で、(株)海外需要開拓支援機構法案、 いわゆる「クール・ジャパン推進機構法案」に関して代表質問に立ちました。質問の概要を以下に記しますので、お読みいただければ幸いです。インターネットの衆議院TVで2013年5月17日のビデオもご覧ください。

 民主党の岸本周平です。私は民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました株式会社海外需要開拓支援機構法案について、質問をいたします。

1.クール・ジャパンの重要性

 戦後、日本が培ってきた製造業を中心としたメイドインジャパンの産業基盤は、今も日本経済の足腰であり、更なる規制改革によってその競争力を強化することは、産業政策の基本であります。他方で、日本でしか発想し得ないクリエイティビティーに根差し、海外から高い評価を受けるクール・ジャパンを推進するコンテンツ産業は、新たな日本経済の担い手であります。

 私は2001年に初代の経済産業省メディア・コンテンツ課長に就任し、クール・ジャパンの先鞭をつけようとする事業者とともに、海外に足を運び、汗を流し、海賊版の撲滅やマーケティング活動など共に市場を拡大していく仕事をして参りました。

 また、昨年は経済産業大臣政務官として、「クール・ジャパン官民有識者会議」と連携しながら、クール・ジャパンを推進してきました。与野党、立場は変わりましたが、最も本法案を支持し、応援したいと思っている政治家の一人であると自負しております。

 したがって、(株)海外需要開拓支援機構、いわゆるクール・ジャパン推進機構を成功させたいという熱い思いから、いささか辛口の質問をさせていただくことをお許しください。

2.政府がリスクマネーを供給する意義

 まず、政府がファンドを組成してリスクを取ることが可能かどうか考えていきたいと思います。これまで、産業投資特別会計の出資金によって、さまざまなファンドを通じたリスクマネー供給が行われてきました。

 さて、「親方日の丸」と揶揄されたこれらのファンドは成功したでしょうか?たとえば、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構には742億円の出資がなされましたが、これまでのところ回収は4400万円です。(独)情報通信機構は716億円の出資で回収2億4000万円。(独)医薬基盤研究所は354億円の出資で回収750万円。(独)農業食品産業技術総合研究機構は351億円の出資で回収額は、なんと300万円です。

 これらは、現在まだある独立法人ですが、さすがに失敗が大きすぎて出資金償却、すなわち損切りして廃止された団体もあります。基盤技術研究促進センターの損失は2684億円、(独)情報処理推進機構の損失は377億円、情報処理振興事業協会の損失は142億円。その他の廃止された10法人の損失額は計383億円です。天下りの官僚の皆さんが何十年とかかわって、失敗の山ができました。

 結局、親方日の丸の「官」がリスクを取っても、失敗するということが明らかになりました。国の財政がひっ迫する中で、500億円の政府の出資で新たに民間会社を設立することは、本当に正しいことなのでしょうか?政府を頼ることで、モラルハザードとなるだけではないのでしょうか?

 クール・ジャパンを応援する立場に立っても、ここで、民間事業者こそがリスクを取らなければ、成功の保証はないと思います。政府が呼び水として500億円のリスクマネーを提供するならば、民間サイドもせめて同額の500億円を出して会社を作っていただかなければ、真剣なビジネスにはなりません。

 これまでの民間サイドからの出資額の見込みと新たに民間会社を設立するべき意義、その必要性、さらには波及効果の大きさについて、経済産業大臣のお考えをおうかがいします。

 あわせて、他の官民ファンドとの関係についておたずねします。政府では、2009年から産業投資特別会計出資2660億円と民間からの出資も受け、官民ファンドとして産業革新機構を設立しております。同機構は、国内の企業及び個人が保有するコンテンツの海外展開を支援する「株式会社All Nippon Entertainment Works」へ、既に約60億円の出資を行っております。同社は、本法案による機構とも同様の目的を担っておりますが、産業革新機構との役割分担をどのようにお考えでしょうか、屋上屋を重ねているのではありませんか。経済産業大臣のご見解をおうかがいします。

3.クール・ジャパン推進機構の人材問題

 そこで、いわゆるクール・ジャパン推進機構の設立に合理性があったとしましょう。私の経験からすれば、このようなコンテンツ系のファンドは人材がすべてです。しかし、本当の目利きができて、的確なファンドのマネジメントのできる人材を採用できるのでしょうか?

 既に多くの民間企業は自力で、もしくは合弁でリスクを取って、アジアを中心に海外進出を果たしています。

 たとえば、吉本興業は10数年前から韓国や台湾に現地法人を設立しています。そして、ファンダンゴ・コリアなどインターネットテレビのビジネスモデルを確立し利益を上げています。その後も、台湾の衛星放送「東風衛視」に事業参入し(2012年5月)、上海メディアグループとの合弁会社による放送番組の制作を開始(2011年10月)しました。また、金門島での日本産品の物販事業「ご当地市場」も実施予定(2013年7月)です。

 民間で成功している優秀な人材が、政府の息のかかった半官半民ファンドに来てくれるでしょうか?利益相反を防止しつつ、このような“目利き”人材を確保していくために、現時点でどのような課題を想定され、その解決についてどのような方策をお持ちか、経済産業大臣のご見解をおうかがいします。

4.クール・ジャパン推進機構のガバナンス問題

 先般、予算委員会で、麻生財務大臣に対しまして、「官民ファンドを通じたリスクマネー供給に関して、失敗した場合の責任は誰が取るのか?」と質問させていただきました。麻生財務大臣からは、「基本的には主務大臣」が責任をとるべきだとのご答弁をいただきました。

 しかし、主務大臣が、ファンドがリクープするまで在任することはまれでしょう。官僚もそうですが、頻繁に人事異動が行われます。やはり、責任は当該機構の経営陣が取るような信賞必罰のガバナンスが必要だと考えますが、経済産業大臣のご見解をおうかがいします。

5.中小企業に対する支援体制の整備

 次に、支援体制の整備についてお伺い致します。本法案に基づく機構の支援は海外展開を行うことのできる強いコンテンツが対象となります。しかし、強いコンテンツを生み出し、海外展開を成し遂げるための第一歩は、何より、日本国内に確かな足場を築くことであります。

 しかし、クリエイティブ関連産業の多くは中小企業者です。これらの企業の多くは、それぞれの強みを持ちつつも、様々な業種間での連携をうまく行うことが出来ず、新たな商品・サービス開発がなかなか進みにくいのが現状です。

 たとえば、アニメ・プロダクションのように取引先の大手企業から優越的地位の濫用に近い扱いを受けてきた中小企業者もあります。その結果、既に、アニメや映像のプロダクションは下請代金支払遅延等防止法の対象に指定されていますが、今後、国内における関連中小企業への支援をどのように進めて行かれるのか、経済産業大臣のお考えをおうかがいします。

 クール・ジャパンの推進は、単なる産業政策に止まらず、新たな日本文化や流行の発信、海外における日本理解の一助ともなります。ソフトパワー外交の基盤とも言えます。そのパイオニアとなる本機構が、その役割を十二分に発揮することができるよう、政府においても、あらゆる政策資源を投入するよう強く求め、私の質問を終わります。

以上。

本会議 海外需要開拓支援機構法質疑 代議士登壇

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