平成25年度予算案衆議院通過
今日、平成25年度の予算案が衆議院を通過しました。
予算委員として、82時間を超える審議に参加し、何度か質問に立たせていただきました。
昨年も予算委員として審議に参加しましたが、その時は、与党。今回は野党と、立場が逆転しています。
建設的な責任野党を目指し、提案型の質問をしてきました。
その意味では、「野党的な」攻撃的質問ではなく、問題点を共有するものとなりました。「与党ボケ」と言われるかもしれませんが、政治に責任を持つ立場から、今回はこの路線で良かったと考えています。
ただし、この予算や新政権の政策には、大きなリスクもあることは改めて指摘しておきたいと思います。
まず、金融政策の出口戦略が難しいことは委員会でも再三言いました。物価が順調に上がっていった時に金利も上がります。
日銀レポートでは、金利が1%上がると、国内の銀行は6.6兆円、2%上がると12.5兆円損が出ます。
損を出したくない銀行が国債を売っても、日銀が買いますから、当面問題は起きません。しかし、さらに物価が2%を超えて上昇した時でも、日銀は国債を売れません。インフレファイターとしての日銀の役割を果たせない可能性があるのです。
また、物価が13年平均1%、14年平均1.5%、15年に2%上がるとなると、累積で5%、さらに消費税が5%上がりますから、物価は約10%上がってしまいます。
年金の物価スライドも物価上昇分から0.9%引いた分しか上がりませんから、3年間では6%しか上がりません。賃金が10%以上引上がらなければ、現役のサラリーマンも生活は苦しくなります。
15か月予算と称して、補正予算で5兆円の借金を増やしましたから、国際公約の「国・地方SNAベース」で見たプライマリーバランスは25年度に相当悪化します。
昨年8月時点の推計では25年度のプライマリーバランスは5.2兆円の赤字でしたが、補正予算の結果、6.9兆円の赤字になります。
27年度にプライマリーバランスの赤字半減(対2010年度)3.2兆円を達成するには2年間で17兆円以上の収支改善が必要ですが、困難であることは火を見るより明らかです。
このような財政規律の無さが、国債の市場に影響を与えるおそれもあり、国際価格の暴落、金利急騰の懸念があります。
株高、円安は歓迎すべきですが、外国人投資家の買い越しによるバブルがはじけるおそれもあります。
また、円安も行き過ぎれば、貿易赤字の拡大につながります。
2012年度の貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8兆1699億円の赤字。年度ベースの貿易赤字は2年連続で、赤字額は11年度(4兆4221億円)の約1.8倍。
原子力発電に代わる火力発電向け燃料の輸入が増え、足元の円安で赤字額が膨らんだのですが、さらに円安になれば、今年度はさらに貿易赤字が拡大します。
そして、そのことが更なる円安につながります。
このようなリスクを無視することは冒険主義です。保守政治家は冒険主義はとりません。
アベノミクスがソフトランディングし、日本経済が立ち直ることを祈りますが、以上のリスクだけはきちんと指摘しておきたいと思います。