東短リサーチ加藤出社長
今日は、朝から7時間コースで衆議院予算委員会。金融、財政、経済政策がテーマでテレビ中継がありました。
焦点は「アベノミクス」です。
自民党、日本維新の会、みんなの党は賛成の立場から質問されていました。
民主党の前原誠司、原口一博両委員は、アベノミクスで円安、株高が進行したことを評価しつつ、一方で出口戦略などリスクの指摘をするところが他党と違っています。
私の前回の質問も同様で、円安、株高をもたらしたアベノミクスを評価する立場ですが、いくつかのリスクも指摘しました。
ブログに書いてますので、お読みください。岸本周平ブログ2013年2月7日
夕方、財務省当時からご指導いただいている東短リサーチ社長でエコノミストの加藤出さんを招いて勉強会をしました。
今、マスコミは新政権とのハネムーン期間なので、表だってアベノミクスを批判しません。
しかし、加藤さんやBNPパリバの河野龍太郎さんは、リスクに関して中立的に指摘をしています。
今日の加藤さんの論点をまとめておきます。
1.金融緩和の出口戦略は難しい
今、アメリカの中央銀行FRBが、国債やリスク債券を買って資金供給したが、売れば価格が暴落するし、売らなければ、資金の引き上げができず、金融政策が打てなくなるリスクを指摘されている。特に上院、下院ともに議会で問題視されている。
「魔神を壺にもどせるか?」という問いかけです。
今でも、名目GDP比でFRBの倍の資産を持っている日銀がさらに国債などを買い込んでいけば、FRB以上に出口戦略が難しくなる。
2.物価上昇率2%の世界とは?
アメリカでは2%の物価上昇が続いてきた。この10年間で、タクシー料金が73%増、地下鉄初乗り運賃が50%増、外食が40%から60%増、大学の授業料は2倍、ガソリンは3倍。
日本では、この10年間、ガソリン以外、ほとんどこれらの値段は上がっていません。
賃金が上がらなければ、物価だけ上がる経済は庶民には苦しい。株高は金持ちだけが潤います。
3.金融政策はフリーランチ(ただの昼飯)ではない
アベノミクスは補正予算の公共事業で借金を増やしたが、1000兆円の借金をどうするのか?
物価が上がれば金利も上がる。国債の値段が下がっても銀行救済のために日銀は国債を買い続けて損を出す。結局、国民の税金で日銀の損をまかなうことになる。
確かに、心配しすぎてもいけません。しかし、フィナンシャルタイムスなど外国の新聞は、アベノミクスの危険性を指摘していますが、日本の新聞は書きません。
真実は中間にありかもしれませんが、加藤さんの冷静な議論は参考になりました。
加藤さんにはバーナンキのFRBという共著もあります。ぜひ読んでみてください。