永遠のゼロ
この週末の移動中に百田尚樹さんの「永遠のゼロ」(講談社文庫)を読みました。
孫の姉と弟が特攻隊で死んだ祖父の情報を集める過程で、特攻隊の非人間的な仕組みやその中でも特攻隊員が人間性を保ちながら苦しむ生き様、帝国海軍の官僚機構としてのお粗末さと、トップのリーダーシップの無さなどを浮き彫りにしていく小説です。
最初は、臆病者と思われていた祖父が、実は、戦闘機のパイロットとしてプロフェッショナリズムを突き詰めた人物であり。彼らにとって祖母である妻や母である娘をほんとうに愛していたことが判明していきます。
その過程で、世代をまたぐラブストーリーもあって、一気に読ませる力作です。
特に、帝国海軍の組織や高級将校のだらしなさや、その結果としての度重なる海戦での敗北。政治家としては身につまされ、緊張感を持って読みました。
1984年に出版された、戸部 良一、 野中郁次郎他著の「失敗の本質―日本軍の組織論的研究」(ダイヤモンド社)では、帝国陸海軍の失敗をマネジメントの観点から
分析していました。
1980年に大蔵省に入って、しばらくしてから、勉強会で輪読し、「他山の石」としなければと慄然としたことを覚えています。
この本の続編が、 野中 郁次郎 著、 「失敗の本質 戦場のリーダーシップ編」(ダイヤモンド社)です。
今、読んでいるところです。「永遠のゼロ」を読んだ直後なので、乾いた砂浜に水がしみ込むように素直に頭に入ります。
軍事のリーダーに必要なのは、構想力や現場感覚に加え、最終的には哲学や文学などのリベラルアーツの教養である。
まして、いわんや政治家であれば、最低限の要件でしょう。
昔、首相官邸でお仕えした中曽根康弘総理は、激務の中でも、一日に1冊は、歴史や哲学の本を読まれていました。
省みて、内心忸怩たるものがあります。
和歌山―東京の移動時間だけがチャンスですが、今まで以上に読書しなければと反省しきりです。
私たちのために。
私たちの子どもたちのために。
私たちの大切な人のために・・・。
信じられない政治に終止符を打つ。