ウイキリークスとの付き合い方
(米国防大学における危機管理セミナーの様子。右端が岸本周平。)
三日間のワシントン訪問を終え、無事帰国しました。
滞在中は、このブログにも書いた通り、有意義な議員交流ができました。在米日本大使館はじめ関係各位のご尽力に感謝いたします。
その間、5月4日付けの朝日新聞朝刊(現地でも4日の朝、衛星版で入手。)で、ウイキリークスと朝日新聞が協力して、米国務省の電報を解読した結果が掲載されました。
沖縄の普天間基地移転に関わる外務公電が主なもので、大きな扱いとなっていました。
既に、内容は皆さんがご存知のことですから、省略します。
4日の日米国会議員会議の公式の場では、この問題は話し合われませんでした。日本政府の立場が、「不正に入手された情報に関してコメントしない。」というものでしたから。
(第45回日米国会議員会議でのスナップ写真。隣はジョージ・ワシントン大学のMochizuki教授。)
もちろん、会議の外では、国務省を含む多くの米国関係者と、この問題を話し合いました。
実際に、ウイキリークスの外務公電公表によって、外交官が移動したり、情報を取りにくくなったことはあるようです。
一方で、国務省の分析のレベルの高さが外部で評価されることにもなって、マイナスばかりでもないという意見がありました。前向き思考ですね、、、アメリカ人は、、、、苦笑。
おそらく、米国では機密情報も何年か後にはオープンにされるという制度があるから、鷹揚に構えているのかもしれません。
少なくとも、機密性の特に高い情報まではウイキリークスでも入手しにくいことから、今後は、普通の外交情報が筒抜けになることを前提に外交をしなければならないという、、、いわば「あきらめの境地」に至っていました。
違法に入手された情報をマスメディアがどのように公表すべきかという、報道をする側の倫理の問題があり得ます。
今回は、ウイキリークスが朝日新聞を選んで交渉したわけです。米国なら、ニューヨークタイムスであったり、個別の報道機関が契約の対象(!?)になっています。
当然、莫大な金銭の授受が行われ、ウイキリークスはそのおかげでマネジメントが可能になっています。
このあたりの最新の情報は、金正勲(ジョン・キム)慶応大学准教授の近著「逆パノプティコン社会の到来」(ディスカバー社)をお読みください。すごくおもしろいですよ。
私たち政治家も、インターネット社会の中、ウイキリークスが存在することを前提に政治活動をしなければなりません。それはそれで、近年の情報公開の流れの中で、そんなに不自然なことではないのかもしれません。
それでも、「当分の間は守らねばならない国家機密」があり得ることと、どう整合性を保っていくのか、、、課題が大きいことには変わりありません。