トリガ―税制の一時凍結とは?
昨日の金曜日、震災特例税制法案が衆議院で可決されたことをブログに書きました。
その後のマスコミの報道で、「トリガ―税制の一時凍結」をめぐって、国会内で混乱があったとの報道がありました。
皆さんは、「トリガ―税制」って何だっけ???という感じではないでしょうか?
これは、一昨年の予算編成過程で決まった税制です。
ガソリンや軽油には、「暫定税率」というものがかけられています。その昔、第一次オイルショックの時に、消費を抑えるために設けた上乗せの税金です。
その後、自民党政権下で道路建設のための特定財源として使われてきました。
民主党はこの「暫定税率」を廃止することをマニフェストに掲げて、2年前の総選挙を戦いました。
そして、政権獲得後初めての予算編成。リーマンショックで、平年より10兆円近い税収不足の下では、約1.9兆円の「暫定税率」を廃止することができませんでした。
その際に、ガソリンの値段が3カ月連続でリッター当たり160円を超えたら、「暫定税率」分を止める(3カ月連続で130円を下回ったら、元に戻す。)という「トリガ―税制」をつくりました。160円が引き金(トリガ―)なので、トリガ―税制と呼ばれています。
ガソリンで25円、軽油で17円分が引き下げられることになります。
今、ガソリンの値段がジリジリ上昇する中、このトリガ―税制の適用が現実化する中で、震災復興の間だけ、与野党で「一時凍結」を決定することになったのです。
まず、野党から「トリガー税制の廃止」が提案された理由は、?ガソリンの値段が下がれば需要が増えて、それでなくてもガソリンや軽油不足の被災地に悪影響が生じる、?仮にトリガ―税制が発動されると、3ヶ月間で約5千億円の税収が不足し、復興財源の確保に穴があく。などでした。(震災後の状況の変化を考えると、私も同感です。)
私たち税制改正プロジェクトチーム(PT)の役員会でも、大議論しました。「参議院で逆転されている以上、野党の提案を飲まざるをえない。ならば、与党としても、あらかじめ、トリガ―税制の廃止を党議決定すべき。」という結論になりました。
与党の「税調」(税制改正PT)には責任がありますから、不人気な政策でもあえて、泥をかぶって決定する必要があります。
しかし、税制改正PT総会では、その議論は通らず、「執行部に責任をとらせるべきだ。党の税調としてマニフェストに反する決定をするのはおかしい。」との意見が多く、結論を留保して、政府税調に報告しました。
結局、震災特例法案を参議院でも通すために、与野党折衝で「一時凍結」が決まったのです。このプロセスで、「廃止」から「一時凍結」に内容が変わりました。野党の意見と与党の「思い」の間で妥協が成立しています。
そのことに対して、納得できないとして一部の与党議員が抗議文を総理に渡したりしたのが昨日の顛末です。
反対の議員の言い分も十分理解できます。しかし、政党は組織です。特に、与党は政権運営に責任があります。妥協しながら、政策を実現するのが与党の仕事です。野党なら、言いたいことを言いっ放しでもすみますが、、、、、。
泥をかぶってでも、物事を決めるから与党の税調は権威を持てるのです。
与党の辛さ、苦しさを同僚議員の皆さんと分かち合いたいものです。