復興ビジョン検討チーム2
「復興国債の日銀引き受け」に関しては、ツイッター上でも多くのコメントをいただきました。ありがとうございました。
結論から言えば、本日、岡田克也幹事長が、明快にこのアイデアを否定しましたので、この騒ぎは一件落着です。
なお、念のために、事実関係だけを確認しておきます。
まず、高橋是清大蔵大臣が、昭和7年の経済対策で「日銀引き受け」を開始したことです。この時は、いったん、日銀が直接国債を引受けた後、ただちに、その国債を市場に売っていますので、制限なくマネタイゼ―ションしたわけではありません。
その後、景気の復活に合わせて、高橋蔵相は引き締め政策を取り、軍部の予算増強要求にも体を張って抵抗。2.26事件で、青年将校の凶弾に倒れたことは有名な話です。
そして、軍事予算のために、野放図に日銀引き受けが行われ、戦後のインフレの原因にになったとされています。
しかし、戦後も「日銀引き受け」は継続されました。
戦後の失業者対策と軍需産業への補償金は、日銀の引受けた国債と、日銀からの借入でまかないました。さらに、戦後復興のための「復興金融公庫債」の約7割が日銀引き受けでした。
その結果、昭和24年まで悪性のインフレが継続しました。
当時は、国債や復興金庫債に資金を提供する市場がありませんでしたが、今は、健全な市場があります。わざわざ、日銀に国債を引き受けさせる必要はありません。
しかも、大震災で日本経済が傷ついているにもかかわらず、「生損保の海外資産の買い戻し」という無理筋の物語をでっち上げてでも、円高でぼろ儲けをたくらむファンドがいます。
日本政府は今後3年間でも100兆円を超える新規国債の発行をせざるを得ないのです。今、10兆とか20兆円程度の国債を日銀に引き受けさせる「イベントリスク」(ファンドの仕掛けのきっかけ)をおかす必要はありません。
「引き受け論者」の目から見ても、日銀が市場から国債を買うことで、十分な効果があります。
今は、日銀券の発行残高を上回って長期国債を買い入れてはいけないというルールがあります。このルール下でも、まだ隙間がたくさんあります。
場合によっては、このルールを見直してもよいかもしれません。それでも、市場のチェック機能を通すことで、財政規律が機能します。高橋蔵相の知恵に学びましょう。