これからの「正義」の話をしよう
(マイケル・サンデル著 これからの「正義」の話をしよう )
毎年、1月末から2月はじめにかけて、中央大学大学院の集中講義があります。
落選した年の2005年度から、公共政策研究科の客員教授に任命され、今年で6年目の講義になります。
2004年の段階で、まさか、選挙にでるとは予想もしていないので、客員教授のオッファーをお受けしました。
毎週土曜日の講義で、二コマ(90分×2)の予定でした。地元での選挙準備がありますから、毎週土曜日に上京することもできず、年度末に二泊三日の合宿形式にしてもらいました。
今年度は一コマなので、来週、20、21の両日、市ヶ谷キャンパスで終日、集中講義をします。
これまで、アンソニー・ギデンズの「第三の道」や、フィリップ・コトラーの「社会が変わるマーケテイング」などをテキストに選んできました。
今回は、マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」を選びました。
理由は、私が読みたかったということ。学生時代、商法のゼミの江頭憲次郎先生に、「なぜこのテキストを選んだのか?」と聞いたら、「いやあ、忙しくて読めなかった本なのでね。講義で使うと読まざるをえないだろう。」とのお答え。
そういうものか、、、、w、と妙に納得。以来、プリンストン大でも、埼玉大でもテキストは自分が読みたいものを選んでいます。
マイケル・サンデル教授のこの本は大ベストセラー。ハーバード大学での講義の模様はNHKでも放送される人気ぶり。
と言っても、哲学の本なので、いささか難しい、、、汗。
一人殺すか五人殺すか選ぶしかない状況で、一人殺すことを正当化する考えが功利主義。まったく自由な状況で判断できるならば、すべて、個人の判断で行動することが正義、政府が介入してはいけないというのが、自由至上主義(リバリタリアニズム)。
コミュニタリアニズムのサンデル教授は、正義には「物語」に基づく判断がかかわるとする。
「公正な社会は、ただ効用を最大化したり選択の自由を保証したりするだけでは達成できない。、、、善良な生活の意味をわれわれがともに考え、避けられない不一致を受け入れられる公共の文化をつくりださなくてはいけない。」と。
したがって、教授は「政治は道徳的・宗教的論争にまきこまれるべきだと」考えています。これは、大きなチャレンジです。教授によれば。オバマ大統領はこの立場を取ったので、国民の共感を得たと説明しています。
来週、学生諸君とおおいに議論をしてみたいものです。