環太平洋連携協定(TPP)について
本日、民主党のプロジェクトチームが環太平洋連携協定(TPP)についての提言をまとめました。
経済連携協定(Economic Partnership Agreemen :EPA)は、自由貿易協定(FTA)よりも進んで、投資環境や人材の受け入れなど幅広い分野での二国間の合意を目指すものです。
日本もメキシコ、チリやASEANの7つの国とは経済連携協定を結んでいます。
TPPは2006年に、シンガポール、NZ、チリ、ブルネイによってスタートした包括的なEPAです。P4と呼ばれています。サービス貿易や知的財産や人の移動なども対象になっています。
現在、米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが新規に参加して、このP4を拡大し、TPP(Trans-Pacific Partnership)への交渉がスタートしています。
特色は、物品貿易に関しては、全品目について10年以内の関税撤廃を前提にしており、通常のEPAよりもハードルが高いということです。もっとも、例外はあり得るので、最終的には交渉しだいです。
日本は、EPAに関しても、農業を守るために、なかなか進めることができませんでした(貿易量の17%)。お隣の韓国はEUや米国ともEPA交渉をして、既に発効直前です。この分を入れると、貿易量の内約36%が関税なしで輸出できます。
特に、米国、EUなどの大きな市場で、テレビや自動車の関税がゼロなので、日本の商品は太刀打ちできなくなります。
日本がTPPに参加できれば、プラスマイナスはありますが、全体では約3兆円程度GDPが増えます。ここで、「国を開く」ことでしか、経済成長は望めません。
もちろん、農業分野の保護が必要です。そのためには、マニフェストでかかげた農業の戸別所得保障が有効です。生産コストと農産物価格の差額を、直接に所得保障する制度ですから、安心です。
さらに、インセンティブを付けて、大規模農業に誘導し、生産コストを下げていけば、強い農業を実現することができます。農産物の輸出を視野に強い農業を目指すことが可能です。
これまでのような鎖国型の農業政策が、結局は日本の農業の国際競争力を下げてきました。
仮に、TPPに参加するとしても、交渉に数年、関税撤廃に10年かかりますから、農業を強くする時間は十分あります。
その意味で、プロジェクトチームが、TPPの「情報収集のための協議を始める」ことを提言したのは当然のことだと考えます。