ギリシャ危機の背景
ギリシャでは、昨年、2009年10月に政権交代がありました。
野党第一党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)が勝利、中道左派政権が誕生。
新しく財務大臣になったパパコンスタンティヌ博士は前政権が作成した財政赤字統計は信頼できないことを認めました。
ギリシャ政府は2009年の財政赤字対GDP比をマイナス3.7%から、マイナス12.5%に修正しました。(その後、マイナス13.6%に改定。政権交代がなければ、引き続き統計のごまかしが続き、たいへんなことになっていたでしょうね。)
その結果、2009年12月、2010年4月に、格付会社が相次いで、ギリシャの格下げを発表。
S&Pとムーディーズは4から5段階格下げし、今は、ギリシャ国債は「投資不適格」に位置づけされています。
その後、今年の5月に、ユーロ加盟国で合計800億ユーロ、IMFで300億ユーロの合計1100億ユーロ(3年間)の支援が決定されました。
現在、見込まれている09年の財政赤字対GDP比13.6%を14年には2.6%に引き下げるコミットメントが行われています。
なお、ユーロ圏全体の金融安定化策としては、最大5000億ユーロの支援が、欧州委員会の財務相緊急理事会で決定され、スペインやポルトガルへなど周辺国の波及に備えています。
この支援に対して、ギリシャ政府は次のような再建策を発表。
年金の削減(対GDP比1.3%)、公務員人件費の削減(対GDP比1.2%)、その他公共投資の削減など(対GDP比2.1%)に加え、消費税の引き上げ(19%−>23%)、環境税の導入などの増税で対GDP比2.1%)。
4年間で約対GDP比で11%程度の緊縮政策です。
日本の財政に置きなおせば、約50兆円程度の財政緊縮策になります。
それをIMFや欧州委員会の監視の下で、行わなければなりません。アジア危機のインドネシアやタイのように財政自主権を奪われるわけです。
日本も、今や同じような財政再建策が求められている状況です。
このような厳しい政策をIMFの監視下ではなく、国民の意思として自主的に実行できるかどうか、日本の民度と政治家のリーダーシップが問われています。