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Blog活動ブログ

2008年6月21日

市民能


        (和歌山市民能の舞台。演目は「藤戸」です。)

 今日も朝から、和歌山市内を走り回りました。街頭での活動中心になります。そんな中で、午後のひと時、第29回の市民能を観てきました。去年もブログに書きましたが、もう早や1年経ったのですね。先日の杉谷昭子先生の後援会総会と同じです。

 和歌山市民会館の小ホールでの会は、本当に異次元の世界でした。能の前半には現世の人間が出てきますが、後半は亡霊やこの世のものではない異形の登場人物が主役です。「藤戸」の細かいストーリーは省きますが、おおむね次の通りです。

 源平の藤戸合戦の時、佐々木盛綱という武将は、地元の漁師に高価な品を与え、馬で渡ることのできる浅瀬を教えさせました。その後、佐々木は秘密を守るためにその猟師を殺します。この合戦における功績によって佐々木はその土地を領地とします。赴任した時に、殺した猟師の母親現れ我が子を返してくれと迫ります。佐々木は非を詫びて弔いを約束しますが、弔いの最中に漁師の怨霊が痩せ衰えた姿で現れるのです。写真はこの怨霊です。

 とても、悲しいストーリーです。老母が現れる前半、自分の母親を思い、目頭が熱くなりました。そのようにして「幽玄」の世界をしばし、楽しんでから、街頭演説を再開しました。この間のギャップは大きいのですが、路上に立った瞬間に、「幽玄」の世界に別れを告げて、絶叫できるようになりました。この3年間の「修行」のおかげです。

 和歌浦の「薪能」の仲間も大勢観に来ていましたので、しばしの気分転換ができました。気軽に「能」が楽しめる和歌山って、やはりすごい底力がある街だと思います。

 ちなみに、私が感動した前半部分のハイライトは、漁師の母親が領主に体当たりをするようにして「子供を返せ!」と迫るところです。母親の子を思う力のすごさは何百年経っても変わりません。51歳の今でも、「周平、ちゃんとご飯食べてるか?」と母親から小学生のように扱われています。

 「能」は室町時代以降、大名の保護で繁栄しました。領主が戦の勝利ために命を奪った部下の母親に責められる「能」を庇護するのは、当時の大名に「権力の怖さ」を自戒する度量があったからでしょう。「後期高齢者医療制度」を平気で強行採決する政権にはそんな度量はありません。

             私たちのために。
             私たちの子供たちのために。  
             私たちの大切な人のために・・・。
             信じられない政治に終止符を打つ。
             そして、信じられる政治を創るために。


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