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2008年5月22日

社会保障国民会議の財政試算

 先日、政府の社会保障国民会議が発表した年金制度改革の財政試算について多くのコメントをいただきました。政府の試算を読む場合、二つのチェックが必要です。まずは、「結論ありき」ということです。霞ヶ関の各省庁の事務方が計算しますから、一見、中立的なよそおいを取りながら、彼らが誘導したい方向というものがあります。今回の試算も、「税方式」への移行には反対と言う霞ヶ関のコンセンサスが透けて見えます。

 これは、「消費税をそんなに上げることができないだろう。」という財務官僚の心配と、「基礎年金を全額消費税でまかなうと自分たちの権限がなくなる。」という厚生労働省の官僚のおそれが、ピッタリと重なるからです。つまり、責任回避と権限への固執が政策をゆがめているのです。科学的な根拠があって政策が決められていない具体例の一つです。また、安々とそれに乗っかっている自民党の族議員のだらしなさのおかげでもあります。

 二つ目は、官僚が試算の前提を勝手に操作することです。これは「結論ありき」ですから、当たり前のことで、いかようにも前提を変えてきます。わかり易い例は、国会論戦で批判を浴びた「道路の需要推計」です。10年間で59兆円の道路財源が必要とのことで、先般、道路財源特例法が再可決されました。この59兆円の前提として2002年時点の需要推計が使われました。しかし、それよりも格段に需要の減る2007年時点の推計があるのに使わなかったのです。いくらなんでも。子どもだましです。他の役所ならもう少しスマートにごまかすでしょうが、、、。それでも、2007年時点の推計を見ても、「2020年まで道路の需要が増える。」としているのですから、笑ってしまいます。すでに、人口も車の保有台数も減り始めているのですから、「国民をなめとんのか!」と思います。

 最後に、コメントにもありましたが、このようにシングルイシューに焦点を当てることで他の選択肢から国民の目をそらすことができます。2万7千人の中央官庁のお役人さんが4600の公益法人に天下っていますが、これらの法人に毎年6兆円の税金がばらまかれています。5年間で廃止すれば、毎年1兆2千億円の財源が生まれ、最終的には6兆円を年金に回すことも可能です。消費税2%以上の財源です。このような選択の議論をさせないことが政府試算の隠れた意図でもあります。

 政権交代のある先進国ではこんな不公平な試算を発表することは許されません。仮に、政権を獲った民主党がだらしなくて、官僚にあやつられたとしても、「からくり」を知っている自民党は野党として、その点を追求してくるでしょう。だからこそ、政権交代が必要なのです。もっとも、「霞ヶ関のウラオモテを知り尽くしている」岸本周平が政権に入れば、そんな事態になることは絶対に許しません。

             私たちのために。
             私たちの子供たちのために。  
             私たちの大切な人のために・・・。
             信じられない政治に終止符を打つ。
             そして、信じられる政治を創るために。


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