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2014年9月3日

野党再編はまやかしである。

 安倍改造内閣が発足しました。

 安倍総理自ら「実現実行内閣」と命名されたようですが、何を実現し、何を実行するのかが不明です。

 これまでも、「決められる政治」の中身が問題であったことを思い返します。

 ただしスタートした以上、お手並みを拝見すべきであり、顔ぶれを批判することは差し控えます。

 むしろ、野党の方の真価が問われる臨時国会に備えるべきです。

 民主党は、今や「絶滅危惧種」のようなものです。レッド・リストに載っている日本うなぎと同じ運命です。

 ただし、日本うなぎと民主党の違いは、日本うなぎの値段は上がっていますが、民主党の値段、つまり政党支持率はいっこうに上がらないことです。

 民主党が絶滅せずに、いずれ、再び政権を獲得するためにはどうすれば良いか?

 マスコミは、今の政治状況を「一強多弱」と評し、巨大な与党に対して、野党が結束すべきだと言います。その先には再編話もあります。

 これはおかしい。政党は理念や政策が命です。日本維新の会は、自民党より右派です。次世代の党はさらに右派です。このような政党と再編することは中道のポジションである民主党の自殺です。

 みんなの党は、集団的自衛権の問題をのぞくと、自民党よりもリベラルな議員が多いので、将来の再編はあり得ると思います。

 社民党や共産党は左派ですから、中道の民主党の相手にはなり得ません。

 国会での法案審議の際の野党間協力まで否定するわけではありませんが、理念なき再編成には反対です。

 しかし、その前に、民主党自身の立ち位置を明確にしなければ生き残れないと考えます。

 安倍自民党がこれまで以上に右派の立場、タカ派の保守政党であることを明確にした以上、民主党はリベラルなハト派の保守政党であるべきです。

 今の自民党からは、吉田茂、大平正芳、宮澤喜一などのリベラルの系統、宏池会の流れが消えました。

 今こそ、民主党が「穏健な中道」政党の旗を掲げて、国民に選択肢を与えるべきです。

 英国の保守政治家エドマンド・バーグの言うように、人間というものが不完全である以上、単純に特定の時代に戻ればよいとの「復古主義」や、現在の制度に固執する「反動主義」の立場は取らず、歴史や経験に基づいて謙虚に改善を積み重ねて行くべきだとの真の「保守主義」の立場に立つべきです。

 安倍内閣は、その意味での保守政治とは真逆の冒険主義の政治を行っています。

 アベノミクスも、閣議決定による集団的自衛権の解釈変更も、さらには、靖国神社への参拝などサンフランシスコ講和条約に基づく戦後の国際秩序への挑戦も「保守主義」の政策ではあり得ません。

 タカ派の右派の保守政治か?ハト派の穏健な保守政治か?これを次の衆議院総選挙の争点とすべきです。

 民主党は、社会的公正と経済活力を両立させ、多様性と開放性を認める穏健な中道の政治を目指します。

 民主党は経済的な安全保障と富の分配だけでない、競争と富の創出による、がんばった人が報われる社会を実現します。

 経済成長の基盤は生産性の向上です。そのために、TPPなどを積極的に推進していきます。

 何より、民間部門が経済を主導すべきです。

 一方で政府にはセーフティーネットを提供し、格差の是正を行うことが求められます。格差是正のためにも、教育や子育てを重視するチルドレンファーストの政策は重要です。

 民主党は、国際的に開かれた、男女差別のない開放的な国家を目指し、ヘイトスピーチに代表される排外主義の風潮とは徹底的に闘います。村山談話や、河野談話を引継ぎ、戦後の歴史認識に関する挑戦は行いません。

 価値観の多様性を幅広く認めることこそ、民主中道路線の真骨頂だと考えます。

 政府が権威主義的に介入する国家は国民から多様性と活力を奪います。それを防ぐためにも、公益法人、NPOや自治会など各種の中間団体を育て、活力と連帯の市民社会を実現しなければなりません。

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