小規模企業振興基本法案の内容と課題
経済産業委員会で、小規模企業振興基本法案の審議が始まりました。
これまでの中小企業支援の変遷をたどると、まず、大企業と中小企業の二重構造問題に対応するため、1963年に、中小企業基本法が制定されました。
その後、基本理念を企業間における生産性の格差問題への対応から、中小企業の多様で活力ある発展へと転換するため、1999年に中小企業基本法の抜本改正が行われました。
そして、2010年、民主党政権の時代になって、「中小企業憲章」が初めて閣議決定されました。
これは、中小企業の経済的・社会的な役割などの基本的理念や中小企業政策の基本原則、行動指針を示すとともに、少子高齢化や経済社会の停滞の中で、中小企業を変革の担い手と位置付ける画期的な指針です。
今や、中小企業基本法と並び称される歴史的に重要なものと評価されています。
2012年には、枝野経産大臣の指示で、小規模企業に焦点を当てた「”ちいさな企業”未来会議」が発足。全国30か所以上の現場で、青年層や女性層の中小・小規模企業経営者、税理士などの士業の皆さん、商店街関係者などからヒアリングを行い、提言を出しました。
その成果が、2013年に成立した小規模企業活性化法に結実したのです。これは、小規模企業に対する各種の支援策を整備するものでした。
そして、今回、小規模企業が、人口減少、高齢化、海外との競争激化などの経済の構造変化に対応し、地域活性化の主役になるため、新たな施策の体系をつくることとし、小規模企業振興基本法案が提出されました。
小規模企業は、製造業その他では従業員20人以下、商業・サービス業では同5人以下の企業です。さらにこの法案では従業員5人以下の「小企業」というカテゴリーも作られています。
法案は、国及び自治体の連携の重要性、事業の承継、廃止の円滑化、人材の育成及び確保策などを基本施策と位置づけています。
この法律に基づき、5年間の「小規模企業振興基本計画」が作られます。
具体的な政策のメニューは、補助金、政策金融、投資ファンド、税制または直接の経営支援などです。
これまでの施策は、数も多く、またコロコロ変わるなど、使い勝手の悪い面もありました。
現場のニーズを的確にとらえて、わかりやすく、使いやすい制度となるよう、法案成立後も立法機関として、しっかりチェックしていかなければなりません。
経済産業省の大臣政務官の経験を生かして、一生懸命、貢献していくつもりです。