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2014年5月2日

オバマ大統領訪日の評価その1 ― 安全保障における日米同盟強化について。

(マンスフィールド財団フォーリー大使招聘プログラム第1回メンバー)

 4月30日(水)から3泊5日の日程で、ワシントンに行ってきました。マンスフィールド財団が久しぶりに議員交流のために作った「フォーリー大使招聘プログラム」の第1期生のメンバーに選んでいただいたおかげです。

 カトラー通商代表部次席代表代行など政府関係者や、上下両議院、シンクタンク関係者との会談がセットされており、有意義な議員外交になりました。

 まずは、米国から見た、先週のオバマ大統領の訪日の評価に関して報告します。

 今回のオバマ大統領の訪日は、韓国、マレーシア、フィリピンの4か国歴訪の一環です。

 これは、明らかに、米国の「アジアへのリバランス(再均衡)」政策の前進を目指すものです。

 シリア内戦やウクライナ問題に対して、オバマ大統領への弱腰批判がある中(今の米国の国力ではいたしかたのない面もありそうですが、、)、外交面での失地回復には、TPPを含む「リバランス」政策を進めるしかないとの作戦です。

 約2年半前から、「リバランス」や、「Pivot to Asia(アジア重視戦略)」などのオバマ政権の政策変更が行われてきましたが、具体的な成果の上がらないまま、中国は防空識別圏設定などに見られるよう、その膨張政策が目立ってきました。

 米国の本気度を疑っているアジア諸国の信頼を取り戻すには、今回の4カ国訪問が絶好の機会でした。

(国務省のJim Zumwalt 東アジア担当次官補代理との会談後、記念撮影。)

 まずは、最初の訪問国の日本で、「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象」との大統領の明言と共同声明への明記があったことは、リバランス政策のモメンタムを強めることに成功しました。

 中国政府に対するけん制と言う意味では、日本政府は大きな成果を得られたとも言えます。

 その一方、韓国では、「従軍慰安婦は大きな人権侵害問題」とも大統領は発言し、ある意味、日韓でのバランスも取っています。安部首相にも日韓の友好関係回復への強い要請がありました。

 何より重要なのは、その後のフィリピンでの「新軍事協定」締結による米軍の同国内でのオペレーションの回復です。22年ぶりにスービック空軍基地とクラーク海軍基地に米軍が戻ってきます。

 明らかに「リバランス」政策の前進につながります。ワシントンではこのような見方がされていました。

 一方、日本が大統領の「尖閣発言」だけで有頂天になるのは早とちりのようです。

 「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象」というのはこれまでの米国の方針そのものです。しかも、「領有権」は二国間で話し合うべきことであるというスタンスは変わっていません。

 大統領は、何度も、「中国の平和的台頭は歓迎。」、「中国の封じ込めは意図しない。」などとバランスを取る発言を繰り返しています。

 ワシントンでの会談の空気も、大方はそのようなものでした。外交には「友情」のようなものはありません。国益のぶつかり合いだけです。

 もちろん、米国の「リバランス」政策は本気のようですし、東アジアの安定には日米同盟の相手国である日本に大きな期待もあります。その上で、日中、日韓のバランスもしたたかに取るのが大人の外交です。

 ちなみに、集団的自衛権の解釈変更に関しては、今の与党内の議論が相当「限定的」なものになっていることへの理解がワシントンのコンセンサスになっているかどうかは、少し疑問に感じました。

 かなりの知日派でないと、「Show the Flag」的な、英国のようにイラクやアフガニスタンに出ていくような完全な「集団的自衛権」への変更だとの誤解もありそうでした。

(在米日本大使館にて、佐々江大使に表敬訪問。)

小倉小学校の給食試食会

2014年4月29日

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オバマ大統領訪日の評価その2 ― TPP交渉の行方

2014年5月4日