東アジアの安全保障政策―ワシントンコンセンサス
ワシントン二日目は海江田代表のブルッキングス研究所での講演がありました。
そこでも、質問が出ましたが、東アジアの安全保障政策に関するワシントンの見方を紹介します。
まず、北朝鮮への備えに関して、米国の同盟国である日本と韓国が協力することが何より重要であるとの認識は共有されています。
対中国についても、米国は競争的な部分と協力的な部分の両面を有しているが、領土面での競争的な動きに関しては、日本との連携を重視するとの見方が主流でした。
ヘーゲル国防長官が、中国において、尖閣諸島が日米安保条約の適用対象になる旨の発言をしたことは、政府関係者や議会関係者からもエンドースされました。
なお、歴史認識問題は大きな影響を与えていました。
経済問題の安倍総理は良い安倍、歴史認識の安倍総理は悪い安倍、集団的自衛権の解釈変更などの安全保障問題はその中間で、お手並み拝見という見方がワシントンのコンセンサス。
中国に関しては、経済や貿易面での責任あるパートナーとして行動してもらいたいとの立場もありますが、一方、今回のクリミアでのプーテイン大統領と同じく19世紀の大国のような時代遅れの行動への不信感も強く感じました。
その意味で、「力による現状変更」は許されないという立場を日米で確立し、クリミアでのロシア、尖閣での中国をけん制すべきであるとの意見が共有されていました。
一方、リバランス政策が安定したヨーロッパを前提にしたものであるなら、ウクライナ問題、クリミア併合で状況は変わるのかという当方の問いに対しては、リバランス政策には影響を与えないとの答えが多かったです。
まず、リバランス政策のポイントは、中東における駐留レベルの引下げ、第2に、経済的なダイナミクスの追求、第3は、第2次世界大戦後の国際秩序を受け入れるよう中国を説得することだと言います。
したがって、ウクライナ問題があろうとなかろうと、オバマ政権はリバランス政策を続けるであろう。つまり、リバランス政策は軍事的な戦略だけではなく、より大きな戦略体系であり、TPP交渉すらもその中に含まれるというのがワシントンのコンセンサスでした。