トルコ、UAEとの原子力協定―政府の情報公開不十分!
今日は、外務員会で日・トルコ、日・UAE(アラブ首長国連邦)協定に関し、核不可拡散、核の平和利用、原子力安全の強化を推進する観点から、賛成の立場で質問をしました。
衆議院インターネットTVで、4月2日外務委員会、岸本周平の質問を録画で見ることができます。
民主党は政権与党時代のベトナム、ヨルダンなどとの二国間原子力協定を推進してきた政策の継続性から、賛成の立場を選びました。
2030年代末にはあらゆる政策資源を導入して原発ゼロを目指していますので、原発輸出を可能にする原子力協定を進めることには党内でも異論があります。苦しい選択です。
それでも、現実的なアプローチとして、現在原子力発電プラントを建設する能力のある企業が日本に集中している現状から議論を始めました。
1980年代以降の世界の原子力プラントメーカーの国際的な再編・集約化の結果、東芝―ウエスティングハウス、日立―GE,三菱重工業―アレバの3グループが世界の原子力産業の中核主体になっています。
ロシア、韓国、中国にも原子力プラントメーカーが存在しますが、いわゆる第3世代プラスの最新鋭原子炉の建設実績や予定を見ると、圧倒的に日本グループが中心です。
日本企業は、原子炉の圧力容器の世界シェアの8割を日本製鋼所が保有するなど原子力発電のサプライチェーンにおける強みを持つとともに、プラントを継続的に建設してきており、「日米原子力共同体」とも称される中で、米国からも核不拡散や原子力の安全に関して強く期待されています。
以上より、現実的には、各国から日本の原子力技術への高い期待があり、東京電力福島第1原発事故の経験と教訓を世界と共有することにより、世界の原子力安全の向上に貢献する道を選択すべきです。
ただし、福島原発の事故が地震でどのような影響を受けたか検証は終わっていません。その原因究明など本当に福島の経験と教訓を生かすべきだと考えます。
協定に基づいて移転された核物質の濃縮・再処理の規制に関して、アラブ首長国連邦には認めていない(第9条)。一方、トルコ共和国には両政府の合意を前提に、核物質の濃縮・再処理を認めている(第8条)。二国間で、取扱いに大きな違いがあるのはなぜか。また、濃縮・再処理技術等の移転規制に関しても、同様の扱いになっているのは大問題です。
トルコとの協定では、核不拡散が徹底していません。
岸田外務大臣は、トルコ共和国との協定第8条に関し、2013年11月8日の衆議院外務委員会で、「書面を通じて改めて認めない限りは、こうしたことは実現しない。我が国は認めることはないと考えておりますので、実質的には我が国の思いはしっかり実現できると考えています。」と答弁されています。
核不拡散の観点からは、トルコ共和国にもアラブ首長国同様の否定的な案文が望ましい。しかし、他国との二国間協定でも色々な条文になっていることからすれば、交渉の過程で何らかの妥協はあり得るでしょう。
しかし、この答弁では、協定上の案文を、条約批准前に国会審議の場で外務大臣自らが否定することが外交儀礼上いかがなものかという疑問が生じます。
その案文を、「こうは書いているが、当事者の自分は守るつもりはまったくない。」と言い切ることに、相手側、今回ならトルコ共和国政府はどのように反応しているのか質問しました。あるいは、交渉時には、「案文はこうだが、空振りの規定である。」ことに両国政府は合意していたのか問いただしました。
岸田外務大臣はそうだとお答えになりましたが、交渉の記録を出せと迫ったところ、「No.」いう返事でした。
外交交渉の過程が不透明なまま、立法府で条約の審議はできないので、鈴木外務委員長に資料請求をお願いして質疑を閉じました。
政府の国会への情報提供の不十分さを指摘しましたので、与野党を超えて支持をいただいたのは有難かったです。