民主党の進むべき道ーその2
2。政策のバックボーン
(3)積極的平和主義にどう向き合うか
安倍内閣が打ち出した「積極的平和主義」の定義が明確ではないが、外交安全保障のブレーンである北岡伸一国際大学学長の説明によれば以下の通りです。
積極的平和主義とは、「50年代からの政府開発援助、92年からの国連の平和維持活動(PKO)への参加、その後の人間の安全保障概念による世界の貧困の克服などへの貢献をさらに充実させ、しかも日本単独ではなく国際協調の枠組みで行うこと」だと。
積極的平和主義がそのようなものだとすると、民主党として反対する理由はないことになります。
昨年12月4日に発足した国家安全保障会議(日本版NSC)は民主党政権時代に設立を閣議決定していたものであり、民主党は法案に賛成しました。
同年12月17日の「国家安全保障戦略」と「新防衛計画の大綱」の評価に関しても、愛国心問題など議論の余地のある部分がいくつかあるにしても、民主党政権時代からの流れを引き継ぐものであり、総体的に理解できます。
結局、個別の政策毎に判断すべきことであって、積極的平和主義に関して議論することは実益のあることではないことがわかりました。
(4)国際標準からの逸脱を避ける
安倍内閣の問題点は、「積極的平和主義」というような美辞麗句を使いながら、現状では二つの点で国際標準から逸脱していることです。
一つは、安倍総理の靖国神社参拝にみられるように、サンフランシスコ平和条約によって構築してきた戦後国際秩序への挑戦、つまり歴史修正主義の立場をとっていることです。そのことは、韓国、中国の反発に止まらず、今回初めてアメリカ、欧州、ロシアなどからも厳しい批判がなされたことで明らかです。
二つは、特定秘密保護法に明らかなように、外交安全保障の秘密保護と国民の知る権利のバランスを取るための国際ルールであるツワネ原則に則っておらず、国連高等弁務官から批難されるくらい国際的に孤立していることです。
国民の関心がアベノミクスに集中し、内向き志向の中で、この2点を訴求することが難しかったことは事実ですが、この点をいかにして国民に理解してもらえるかが、外交安全保障政策の鍵だと考えます。