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2013年11月26日

政府の特定秘密保護法案には反対せざるを得ません!

 安倍内閣は、衆議院の特別委員会で政府提出の特定秘密保護法案と4党の修正案を強行採決しました。そして、本会議に緊急上程し、賛成多数で可決。ただし、修正案に応じた日本維新の会は欠席しました。

 私たちは、秘密保護法案の必要性を認めた上で、きちんと対案を提出し、政府の法案と修正案には粛々と反対の立場を貫きました。

 問題その1 第三者機関で恣意的な情報隠しを阻止します。

 内閣府に「情報適正管理委員会」を設置して、行政機関が恣意的に行動できないよう、秘密の指定基準を同委員会が作成するなど、第三者機関によるチェックを可能にします。米国をはじめ先進諸国で第三者機関のない秘密保護法はあり得ません。

 問題その2 情報提供のイニシアティブは国会が握ります。

 衆参両院の議長が副議長の意見を聞き、必要な場合は「秘密会」などを開いて、行政機関の長に情報提供を命ずることができるようにします。今の法案では、国会に情報を提供するかどうかは、行政機関の長の裁量に委ねられており、国会審議が十分に機能しないおそれがあります。また、同委員会は調査や勧告などを行います。 

 問題その3-意図的な情報廃棄や永久的な非公開を阻止します。

 情報をいたずらに廃棄せず適切に保存させるとともに、30年以内に原則公開とします。政府の案では、30年を超えても内閣が認めれば永遠に秘密になりますし、修正案でも60年後に公開ですが、7項目も例外規定があり、情報公開の趣旨に反しています。米国では、大統領が予め定めた機関が過ぎれば、自動的に機密情報も公開されます。

 問題その4 外交や国際テロ情報の適正管理と「国民の知る権利」尊重を両立させます。

 外交と国際テロに関する必要最小限の情報を「特別安全保障秘密」と指定し、適正に保護します。この分野での外国との情報共有が大切なことだからです。一方で、国民の知る権利、報道、取材の自由を最大限尊重します。

 今のままでは、「特定秘密」の範囲はあいまいですし、その基準も第三者機関ではなく行政が恣意的に決められます。それも、結局は運用上政治の意思は働かず、官僚任せになってしまいます。

 また、情報公開の視点が抜け落ち、「著しく不当な方法」という恣意的な基準で取材の自由が制限されます。戦前の治安維持法では、8万人が逮捕されましたが、6万人は無罪。残りの2万人も多くは冤罪だと言われています。裁判で無罪になっても、時間はかかりますし、けん制効果が強くはたらきます。

 何より、立法府が行政府をけん制できないという意味で、三権分立の精神に反します。憲法が権力者を縛るという意味での立憲主義がここまでないがしろにされることは、民主主義の危機だと考えます。

 昨日の地方公聴会でも陳述人の全員が慎重審議を主張したにもかかわらず、拙速な強行採決をすることに憤りを覚えます。

 参議院での徹底審議を通じて、「国民運動」を起こすことで、日本の立憲主義、民主主義を守るしかありません。

 何より、時間をかけて議論すれば、昨年の「社会保障と税の一体改革法案」のように修正案をまとめることができると確信しています。

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