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2012年8月6日

小梅さんの日記


(小梅さんの日記)

 幕末から明治を和歌山に生きた川合小梅が書いた日記が今話題になっています。

 小梅日記を楽しむ会が「小梅さんの日記」という絵本を出版しました。

 川合小梅は1804年、和歌山城下で生まれました。祖父も父も学者で藩校の先生でした。小梅さんも幼いころから学問を究め、特に和歌と絵の才能に恵まれていました。

 その小梅さんは祖父のお弟子さんと結婚し、1889年に86歳で亡くなります。その間、1837年から約50年間日記をつけ続けたそうです。

 今でも、16年分の日記などが残っています。日記には本人のことや家族のこと、家計やお付き合いの記録に、当時の事件のことなども書かれています。

 小梅日記を楽しむ会の皆さんが、平凡社の東洋文庫などを参考に、今回絵本にまとめられ、私も楽しく読ませていただきました。


(東洋文庫は新書で全3巻)

 これを読むと、当時の紀州藩士の家では、女性も歌を詠み、絵を描き、詩をつくる文化的な生活をしていたことがわかります。

 また、お酒やお弁当を持って、川原の花見や荒浜での潮干狩りに出かけるなど生活を楽しんでいたこともわかります。ひなまつりや馬かけ見物など、家族仲良く人生を謳歌していたようです。私も毎回参加している「和歌祭り」の模様も書かれています。

 「お花見で、小梅さんがお酒を飲み過ぎて酔っ払い、家に帰ってすぐに寝てしまったところ、夜中の二時ごろご主人がわざわざ火を起こしてお茶を入れてくれて、ようやく酔いが冷めた。こんなことになるなんて大失敗だ。」との記述もあって微笑ましいかぎりです。

 当時としては長生きした小梅さんですが、73歳の時に、習字や絵の出げいこで月謝を2円(明治9年)もらったとのこと。たくましいですね。

 同じく73歳の時に仲良しのおせきさんと芝居を見に行ったり、75歳の時に、そのおせきさんが亡くなり、形見分けのメガネをもらったりしたことも書かれています。

 77歳の時には、自宅の庭の「かぶす」などのみかん類を3円で売って、孫のために使う計画なども日記に書かれています。毎年、違う孫に使ったようです。

 その年に、3週間近い間に、大作のふすま絵を25枚仕上げて、疲れて風邪を引いたとの記述も。しかし、77歳で25枚はすごいです。

 200年以上前に生まれた小梅さんですが、この絵本を読むだけで、親しい存在になってきます。

 今も昔も人の幸せというのは同じなんだなと痛感しました。

 一方で、1854年の東海地震や南海地震の模様も書かれています。有名な「濱口梧陵」の「稲むらの火」はこの時の大津波の話です。

 小梅さんが親戚のおばさんのように思えてきます。

 ぜひ、一度読んでみてください。1冊500円。

 お問合わせは、koumesandiary@gmail.com まで。

                    私たちのために。
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