円高・デフレ対応の緊急経済対策と金融緩和
(伊太祁曽神社の本殿鎮座祭の模様です。)
10月5日に、日本銀行が「包括的な金融緩和政策」を発表しました。
まず、実質的なゼロ金利政策を明確にしました。これまで、0.1%前後に短期の金利を誘導していたのを、ゼロ金利も含めて低めに誘導することの宣言です。
次は、何より、35兆円程度の基金の創設が目玉です。日銀はこれまでも市場から長期の国債を買ってきましたが、紙幣の流通残高を上回る額までは買えないというルールを持っています。
今回は、35兆円の基金をつくって、ここで、ルール外の国債買い入れや、コマーシャルペーパー、社債やETF、J−REITなどの商品まで購入することを決めました。これは、日銀が損失をこうむる可能性のある活動です。ここまで、異例な措置を取るとは、私も予想していませんでした。
この結果、長期金利の低下や各種の金融リスクを軽減することになりますので、金融緩和政策としては評価できるものです。
一方、民主党は6日に「成長戦略・経済対策プロジェクトチーム」の直嶋正行座長と、玄葉光一郎政調会長が海江田万里財政経済大臣に対し、「円高・デフレ対応緊急経済対策」を提言しました。
内容は、まず、雇用・地域につながる政策として、羽田空港の整備や、地域活性化交付金、中小企業金融対策など約3兆円。
二番目に、成長につながる政策として、レアアース対策や研究開発プロジェクトなどに4千億円。
三番目が、安心につながる政策として、「安心こども基金」の積み増しや、子宮頸ガンの予防接種、高齢者医療の負担軽減など1兆1千億円。
最後に、人材育成につながる政策として、新卒者支援対策や、雇用調整助成金の要件緩和などで、3千億円。
合わせて、4兆8千億円の補正予算規模を必要とするものです。
その後、国民新党と相談の上、さらに2千5百億円の公共事業(年度内に契約。)を上積みし、合計5兆5百億円の規模になりました。政府は、この方針を受けて、今月中に補正予算を作成し、この臨時国会で成立させる予定です。
日銀短観などの調査でも、年度後半、減速が見込まれます。日本経済を立て直すにはこの補正予算が有効に働きます。しかも、財源は剰余金や税収の上ぶれ分を使いますので、新規の国債発行はしなくてもすみます。
今回、政府と日銀が協力して、ある意味、がむしゃらなまでに積極的に経済対策に取り組んでいます。
民主党も政権を獲って一年が経ちました。今回の内閣改造で、政府の政務三役を経験した政治家が党に戻ってきました。その意味では、現実的かつ実務的な感性で党運営もできるようになりました。私は、今回、政調会長補佐として、政調役員会にも参加し、この緊急対策の策定にかかわることができました。年末の税制改正でも、税制改正PTの役員として頑張ります。