15年ぶりの円高をどう考えるか。
15年ぶりに円が対ドルで84円台をつけました。
15年前には80円台を一時切るような円高水準となりました。その時、私は米国プリンストン大学に留学中。円高の恩恵を受けました。笑、、、。
今晩、ロンドンのマーケットや開いたばかりのニューヨークの状況をみると、少し戻しています。
日本政府高官の「口先介入」の影響とのこと。!?
しかし、野田大臣の発言は、ここ数日変わっていません。市場の心理ですね。
国際金融局勤務時の上司の榊原英資財務官は「介入は市場の勢いに対抗してはダメ。市場が、うーん、ちょっと円高、行きすぎかも?と不安になった瞬間、一気に介入するんだ。」といつも言ってました。
市場は利益確定売りもしたくて、都合良く当局者の言動を解釈しただけです。
ですから、市場の動向に一喜一憂してはいけません。
それにしても、今回の日銀の行動は解せません。米国の中央銀行が金融緩和策を取ることが確実に予測される中、政策変更をしなかったのはおかしい。日銀が動かなかったことそのこと自体が材料にされるからです。
輸出関連の中小企業は悲鳴を上げています。
確かに、15年前と違って、米国もEUもドル安、ユーロ安を望んでいますから、協調介入ができません。日米欧の協調なしに、為替介入はあり得ません。だからこそ、日銀のメッセージが必要でした。
一方で、円高のメリットも考えておくべきでしょう。GDPの1割弱は輸入です。原油高でも、円が高いので助かってます。電力会社やユニクロなど輸入の多い企業はウハウハです。自国の通貨が強い方が、国家全体ではトータルでプラスになります。
電機メーカーもほとんどが、ドル建ての輸出入をバランスさせています。ただし、ユーロ建は苦戦。でも、今後は、ユーロ建もバランスさせるだけです。
すでに海外に生産拠点を移した企業も多く、大企業はそんなに困らないのです。
さらに言えば、デフレの結果、15年前よりも国内物価が大きく下がっていますから、実質的な実効為替レートは約30%低くなっています。ラフに言えば、当時の100円は今の70円ということです。ですから、大企業は困りません。
問題は、ギリシャのように日本国債の信認がなくなり、円安になって輸入物価の上昇に苦しむ時、円安でドライブをかけたい輸出産業が日本になくなっていることです。
今回の円高の教訓は、中小企業への思いやりを持てなかった日銀の失策と、日本経済の構造問題に一日も早く手をつけなければならないことの再認識です。
では、なぜ日本の株価が下がったのか?円高、輸出減、収益源というシナリオで先物を売る投機家がいるからです。
プラス、財務省も日銀もいかにも無策!というように見えました。使える手段が少ないのは判ります。しかし、市場との対話が仕事のはず。バーナンキ議長のように名優になっていただきたい!!